織物新工場を来春公開 カジファクトリーパーク 見学、レストラン、公園…産業観光の拠点に

新工場「カジファクトリーパーク」の完成イメージ

  ●かほくで11月 量産体制に

 繊維メーカーのカジグループ(金沢市)は来年4月初旬、かほく市大崎に整備する新工場「カジファクトリーパーク」の一般公開を開始する。合繊織物の製造現場を見学できるコーナーのほか、自社2ブランドの旗艦店、地元食材を生かしたレストラン、公園などを備える。多彩な催しを開催しながら繊維産業の魅力を発信し、業界を超えて新たな交流を生む「産業観光」の拠点としたい考えだ。

 織物を手掛けるカジレーネの新工場として約65億円を投じて、のと里山海道白尾インターチェンジ近くの河北台商高跡地約3万3千平方メートルに整備する。2階建てで延べ床面積は約1万1200平方メートル。最新織機160台を導入し、生産能力を6割増強。アウトドアや高級ブランド、資材向けの販売増に対応する。今年11月に量産体制に入る。

 見学者は2階の通路から生産工程を見渡せるほか、織機が高速回転する際のごう音や、のりが付着した糸の独特なにおいを体感することができる。世界の名だたるブランドに織物を供給する北陸産地の技術力の高さを身近に感じてもらう。見学は無料とする。

  ●ブランド旗艦店も

 工場に併設する自社ブランドの旗艦店は、洗練されたデザインと機能性を両立した「K-3B(ケースリービー)」、旅行用品を扱う「TO&FRO(トゥーアンドフロー)」の商品を並べる。両ブランドとも石川県内で初の直営店となる。

 北陸で生産された商品のセレクト店では輪島塗、九谷焼、珠洲焼、越前打刃物に代表される工芸品に加え、ワインやオリーブオイルといった食品を、テーブルクロスなどの繊維製品とセットで提案する。

 レストランではメニューに地元産食材をふんだんに取り入れ、生産者の思いが伝わる仕掛けも用意し、能登半島地震からの復興の一助とする。

 300人を収容できる社員食堂兼イベントエリア、約1万平方メートルの公園、テラスも設け、繊維の展示会やワークショップ、異業種と連携したイベントを定期的に開催する。駐車場は車約100台分、バス3台分を確保する。

 工場新設に伴い、新規で65人程度の雇用を計画しており、内訳は工場作業で50人、物販コーナーを含む産業観光部門で15人となる。

 梶政隆社長は地元住民から団体旅行客まで、さまざまな人が集う憩いの場にしたい考えを示し、「日本一の繊維産地をアピールし、業界のイメージアップを図りたい。地域に愛される空間になるよう整備を進めていく」と語った。

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