運営会社自己破産へ 珠洲「シーサイド」テナント

元日の地震以降、営業を休止している「シーサイド」=珠洲市飯田町

  ●市内唯一のショッピングセンター

 帝国データバンク金沢支店によると、珠洲市内で唯一のショッピングセンター「ショッピングプラザ・シーサイド」内のテナントを運営する「ドリーム」(珠洲市飯田町、多間利一代表)が20日までに事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。能登半島地震による津波で施設が全壊し、休業していた。負債総額は調査中で、現時点で約5千万円と見込む。

 同支店によると、ドリームは1979(昭和54)年3月設立。シーサイド内の一部店舗を運営し、書籍や衣料品、たばこ、テークアウト用すしなどの販売を手掛けてきた。

 シーサイドは開業当時、奥能登最大の複合型ショッピングセンターとして客を集め、ピークの2011年2月期には売上高約1億円を計上。しかし、近年は過疎化や同業他社の出店で厳しい経営環境が続き、コロナ禍でテナント退店が相次いだ。地震後、再建に向けた協議を進めてきたが、めどが立たなかった。

 関係者によると、シーサイドは、ドリームを含む各テナントが出資して設立した飯田港共同店舗事業協同組合が運営。施設内は1階が地震による津波で壊滅状態となった。同組合は、今月の大型連休明けに珠洲商工会議所へ退会届を提出したという。

 同会議所の袖良暢事務局長は「珠洲の多くの人が利用していただけに本当に残念だ」と話した。シーサイド内で飲食店を運営していた男性は「自力でどうにかできる状況ではない。地震がとどめになった」と語った。

© 株式会社北國新聞社