ダルビッシュ「先発だけで200勝到達」が絶賛される理由 〝国内組〟に厳しい登板間隔と分業制

ブレーブス戦で日米通算200勝に到達したダルビッシュ(ロイター=USA TODAY Sports)

レジェンドがまた新たな金字塔を打ち立てた。パドレス・ダルビッシュ有投手(37)が、19日(日本時間20日)のブレーブス戦(トゥルイスト・パーク)で日米通算200勝を達成。日本人投手では野茂英雄、黒田博樹に続いて3人目で、先発だけでの200勝到達は史上初の快挙となった。そんな右腕に日本球界から「今や日本だけのキャリアで200勝を達成するのは無理なのでは」と快挙を絶賛する声が上がっている。

衰え知らずの男が一つの節目にたどり着いた。7回まで99球を投げて2安打無失点。今季4勝目を挙げるとともに、無失点記録を自己最長の25イニングまで伸ばし、防御率も2・08まで良化した。ダルビッシュは「とりあえず200に届いた。ホッとしています。201勝目できるように明日から調整します」とひと息ついた。

2004年にドラフト1位で日本ハムに入団し、翌05年6月15日の広島戦でプロ初勝利をマーク。ここからNPBで93勝、海を渡って107勝を積み上げた。その影響力や求心力はグラウンド内にとどまらない。昨年3月に開催されたWBCでは宮崎合宿から侍ジャパンに合流。連日、食事会を開いてチームをまとめ上げ、決勝の米国戦でも登板し世界一に貢献した。「兄貴」の快挙に日米球界から祝福の声が続出したのも、本人が持つ人望だろう。

そんな中、複数のNPB球団で指導してきたベテラン投手コーチは「すごい記録。今や日本だけのキャリアで200勝を達成するのは無理なのではないか?」とダルビッシュの快挙をたたえた。

日本球界のみで200勝に到達したのは08年の山本昌(中日)が最後(通算219勝)。現役選手では田中将大(楽天)が日米通算197勝で大台到達まであと3勝に迫っている。

だが〝国内組〟は厳しい状況。石川雅規(ヤクルト)が185勝で残り15勝だが、過去3年間で12勝。現役最年長左腕は今年で44歳と達成までのハードルは高い。

前出のコーチは日本だけでの達成の難しさとして「メジャーは登板間隔が短く試合数も多いが、中6日で回る日本の先発投手は試合数が圧倒的に少ない。年間で投げても普通は25試合前後。少ない試合で確実に勝つ必要がある」と条件の違いを挙げた。

さらに、前出のコーチは「昔の先発ならチームが勝ち越すまで投げられたけど、今は好投していても6回で代わることも多い」。先発と救援の分業制が進んだことも先発陣に勝ち星がつきづらい理由として挙げた。

それだけに「200勝」が持つ価値はこれまで以上に高まっていると言える。もちろん、それだけ長く第一線で活躍し、投げ続けられる体力も不可欠だ。ダルビッシュの快挙は今後も長く語り継がれるものとなりそうだ。

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