【F1】角田裕毅〝レッドブル昇格〟に疑問の声 小倉茂徳氏が3つの不安要素を指摘

去就が注目される角田裕毅

F1のRBに所属する角田裕毅(24)の去就問題が過熱している。19日に行われたエミリアロマーニャ・グランプリ(GP)で10位入賞を果たした中、評価は高まるばかりで親チームにあたる王者レッドブルへの昇格論も再燃中だ。しかしモータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏(61)は、レッドブルが抱える多くの不安要素を指摘。「昇格して本当にいいのだろうか」と疑問を呈した。

角田は予選から驚異的なスピードを発揮。Q2を3番手で通過するなどトップクラスの実力を証明した。小倉氏は「車の性能を分かる人から見るとビックリなタイムだった」と絶賛する。

決勝では7番手からスタート直後に順位を下げたものの、粘り強い走りで10位を死守して1ポイントを獲得。「角田はうまくタイヤをもたせて、負担を小さくしながら良いペースで走っていた。うまさが際立っていた」と小倉氏。これで直近の5戦中4戦で入賞を果たしてF1界での評価はますます高まっている。

角田とRBの契約は今季限りのため、去就問題もヒートアップ。さまざまな選択肢が取りざたされる中で、米メディア「ジ・アスレチック」は以前から噂されるレッドブル昇格を猛プッシュ。「(マックス・)フェルスタッペンの隣のシートになる可能性がある」と王者の相棒候補と伝えた。

小倉氏も以前は昇格を進言していたが、現状はレッドブルのほうに「不安要素がある」と指摘。理由をこう説明する。「レッドブルはあくまでもフェルスタッペンのチームでそこを軸に動く。絶対的エースがいるところに行くのは、だいたいうまくいかない。捨て駒にされちゃうのが怖い」。エースの補佐役は立ち回りが難しいというわけだ。

「あとはレッドブルの強い体制がどこまで維持できるのか。エイドリアン・ニューウェイが出ていくと発表されたし、主要なスタッフも抜けるんじゃないかと言われ、〝帝国の崩壊〟が始まっているところに入っちゃう可能性がある」。天才マシンデザイナーのニューウェイ氏を始め、主要幹部の退団が予想される状況は気がかりだ。

2026年からホンダに代わってコンビを組むフォードの実力も未知数。「しばらくF1から離れていたし、どこまでパワーユニット(動力源)を作れるのかは走りだしてみないと分からない。そこがちょっと…」と小倉氏は懸念。「今年に入っていろんなものが瓦解(がかい)し始めているので来年以降、大丈夫なのかなと。レッドブルに昇格して本当にいいのだろうかというのはある」と昇格を疑問視した。

それよりも他チームに目を向けて「しがらみと関係なく行ける可能性が出てくる。この成績を続けていけば〝ドライバー・角田裕毅〟という株でどんどん渡り歩いていける」と太鼓判。昇格よりも移籍が吉となるのか。

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