五月病は大丈夫? 調子が悪い日でも営業成果を出す秘訣を知ろう

5月になると「今年の新人たちは五月病、大丈夫かな」という話題が出る。元気だった新人営業スタッフが、急に無気力になってしまう。新人だけでなく、一般の営業スタッフにもみられること。新年度がスタートする4月は、「今期こそ結果を出すぞ」と気合いが入るが、1ヵ月経過して思うようにいかないと「今期もダメだな」とモチベーションが下がってしまう。その点、トップ営業は調子や状態が悪いときでも結果を出すすべを知っている。その秘訣について知ってほしい。

トップ営業スタッフこそ、さまざまな悩みを抱えている

あなたに質問がある。

朝起きて「今日はフィジカルもメンタルも絶好調だ!」ときっぱり言える日が月に何日ありますか?

この質問に対して「ほぼ毎日絶好調ですよ。営業が楽しくてしょうがないのだから」と回答できる人は少ないはず。それどころか「調子の良い日なんてほとんどない」と答える人もいるだろう。元気にワクワクしながらベッドから飛び出す人は少ないものだ。

最近は次のようなテーマがテレビ番組でもよく特集されている。

  • パフォーマンスを上げる方法
  • 良い睡眠をとる方法
  • 何を食べると元気になるか

人々の「なんとかして体や気持ちを良い状態にしたい」というニーズの現れである。結果を出すためには、まずは元気でないといけない。そう考える人は多い。

トップ営業スタッフに対して、“元気にバリバリ働いている”イメージを持つ人も多いだろう。しかし、現実はそうではない。さまざまな問題を抱え、誰よりも悩んでいる。眠れない夜だって少なくない。

ハウスメーカーの営業をしていたときのこと。会社のトップ営業スタッフと一緒の営業所になったことがある。それまでは会議や表彰式で会うだけで、その人の一面しか見ていなかった。トップ営業スタッフはポジティブでエネルギッシュな人。「なんでこんなにパワフルなのだろうか。悩みなんかないんだろうな」と思っていた。

しかし、実際一緒に働いてみると、そんなことはない。絶えず重くのしかかるプレッシャーと難題を抱えながら結果を出していた。

もちろん体の調子の悪い日もあった。しかし、ここぞというときにはスイッチを入れる。どんな状態でもベストを尽くし結果を出す。これこそが真のトップ営業スタッフの姿であった。

プロ野球のピッチャーが、「調子が良い日はシーズンで2、3試合しかない」と語るのを聞いたことがある。調子の良い日はストレートが走るし、変化球もキレる。気持ち良くピッチングができるだろう。それは自然に任せれば良い。それ以外の調子の良くない日にどう工夫してゲームをつくりあげていくかで“大投手になるか、並みの投手で終わるか”が決まる。

調子が悪いときでも成果を出すトップ営業の技とは?

過去の私もそうだったが、体に良くない習慣を続けている営業スタッフは少なくない。ストレス解消のために晩酌したり、夜更かしたりする。そして、調子の悪いまま仕事をしてミスを繰り返す。そしてストレスを溜めてお酒で解消──。私自身この悪循環から7年間も抜け出せなかった。

トップ営業スタッフになってからは効率を考えて行動するようになり、帰る時間が早くなった。寝る時間が早くなれば起きる時間も早くなる。体調も良くなり頭も回転するようになったのだ。

体調面は改善されたものの、メンタル面では問題を抱えていた。物件数が多くなるとどうしても手薄になる案件が出てきてしまう。これがクレームに発展する。クレームを抱えながらの営業活動はキツイ。常に頭のどこかで気になってしまい、スカッと活動できなかった。

そんな精神状態のときに、工夫していることがいくつかある。

もっとも効果的だったのは朝の儀式。どんな状態で起きたとしても「あぁ、よく寝た。今日は良い調子だぞ」と口に出すようにしていた。

実際に試すとわかってもらえると思うが、「あぁ、今日は寝不足でイマイチだな」と言うのとでは大違い。天と地ほどの差になる。誰でも朝はフラットな状態に戻るもの。そこ良い状態へ向かうか、悪い状態へ向かうかは非常に大きな差になる。まずはこれを試して欲しい。

では出勤しても調子が上がらないときはどうするか? 私はその状態に合わせた仕事をしていた。

【良い状態のとき:攻めの仕事】

  • お客様とアポをとる
  • 商談は積極的に話を進める
  • 上司に改善の提案をする など

【悪い状態のとき:守りの仕事】

  • 事務作業をする
  • 資料を整理する
  • 商談はヒアリング重視にする など

もちろん相手の都合もあるが、ある程度は調整できる。このように体調に合わせた仕事をすることでパフォーマンスは格段に上がったのだ。

誰だって体調面、メンタル面など何かしら問題を抱えながら仕事をしているもの。まずは朝、プラスの言葉をかけて自分を良い方向へ導く。そして今日の状態でもっともパフォーマンスを発揮できる仕事はどれかと考え実行する。結果を出し続ける人はどんな状態でもしっかりと仕事をする。メンタルが強いのではなく、“良くない状態でも結果を出すすべ”を知っているだけ。

今日紹介した方法を続けていれば、必ず結果はついてくる。

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