井岡一翔が井上尚弥を称賛、対立王者・田中恒成とは「戦いたい気持ちない」

Ⓒゲッティイメージズ

7月7日にマルティネスと統一戦「激しい試合になる」

プロボクシングのWBAスーパーフライ級王者・井岡一翔(35=志成)が20日、次戦を生中継する動画配信サービス「ABEMA(アベマ)」格闘チャンネルで親交の深いお笑いコンビ・TKOの木下隆行氏と対談形式で生配信を行った。

現在は7月7日に両国国技館で行われるIBF同級王者フェルナンド・マルティネス(32=アルゼンチン)との2団体統一戦に向けてトレーニング中。今週末からアメリカ・ラスベガスで行うキャンプに向けて準備しているという。

マルティネスは2022年にIBFスーパーフライ級王座を9度防衛していたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を破ってベルトを奪取した右ファイター。身長157センチと井岡より約8センチ低いが、旺盛なスタミナとタフネスで前に出て距離を詰めながら戦う、やりにくいタイプだ。ここまで2度の防衛に成功して16戦全勝(9KO)と無敗を誇っている。

堅いディフェンスと高度なテクニック、豊富な経験を持つ井岡がどうさばくかが焦点。しかし、井岡は「フィジカルが強い選手なんで、相手が得意の距離で打ち合うとか、相手の土俵で上回りたい。下がると相手も前に出やすいし、止めるのは難しい。削っていく」と接近戦で打ち合いに応じる意気込みを明かした。

その上で「激しい試合になると思う。覚悟を決めないと彼には勝てない。魂で戦わないといけない」と意気込み。発表会見でKO宣言したのと同様、強い決意を示した。

井岡もダウンを想定した練習

生配信ではルイス・ネリをKOした井上尚弥(31=大橋)がダウンしたことにも言及。1回にネリの強烈な左フックでボクサー人生初のダウンを喫して世界を驚かせた井上が、冷静にカウント8で立ち上がったシーンだ。

試合を観ていたという井岡は「倒れたことは誰が見てもサプライズですが、起こってからどう対処するかが大事。レフェリーのカウント8まで聞いて立ち上がって、その後の動きは凄かったですね」と冷静な対応を称賛した。

木下氏からダウンの練習をするのか聞かれると「僕も昔はでんぐり返しを20秒か30秒やって、目が回った時に膝をついてカウント8で立ってからシャドーボクシングをしてました」と明かす。

また、左フックを受けて左に回るようにダウンしたことが奏功したとも指摘。「受けた方向に飛んで行ったから衝撃は分散されてると思う。耐えて崩れた方が効くんです」と証言した。

改めてエストラーダ戦を熱望

さらにWBOスーパーフライ級王座を獲得して井岡の対立王者となった田中恒成(28=畑中)に対しても質問が飛んだ。2020年大晦日に対戦して8回TKO勝ちで初黒星をつけた田中は、その後再起して井岡へのリベンジに執念を燃やしている。

井岡は「僕は勝者なので、彼との戦いは自分の中では終わってる。なので、彼ともう一度戦いたいという気持ちはない。僕が思い描くストーリーに彼はいない」と力説。「タイトルというより、この階級で一番強いという評価をしてもらえる試合をしないと意味がない。日本だけじゃなく世界で」とより強い相手を求めていることを強調した。

そして、その強い相手こそWBCスーパーフライ級王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(34=メキシコ)に他ならない。井岡が以前から対戦を熱望しているスーパーフライ級最強王者だ。

日本で初めて4階級制覇を達成した井岡はバンタム級転向について問われ、「現時点では考えていない。エストラーダ選手との試合もあるし、まだこの階級でやることが残ってる。彼が現状、この階級で一番評価が高い」と変わらぬ思いをアピール。マルティネスに勝つのが大前提ではあるものの、その先にWBC王者との統一戦を見据えた。

35歳の井岡はプロデビューしてから15年。最初に世界ミニマム級王座を奪取してから13年になる。通算戦績は31勝(16KO)2敗1分。歴戦の強者と濃密なキャリアを積んできた。残り少ないボクサー人生はどんなフィナーレを迎えるのか。「魂で戦う」と断言した井岡のファイトに注目だ。



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