電力需給全体の効率化を 中経連、エネ基本計画策定で提言

 中部経済連合会は20日、国が3年ぶりに議論を進める「エネルギー基本計画」について、提言書「次期エネルギー基本計画策定に対する提言」を発行した。分散型電源の活用などによる電力需給システム全体の効率化に向けた検討の必要性を示した。政府や関係者に向け政策への反映を働きかける。

 国は、中長期的なエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画の改定に向けた議論を進めている。中経連は、脱炭素効果の高い既設の原子力発電所の最大限の活用や、新増設・リプレースを見据えた次世代革新炉の開発・建設の後押しの必要性を強調。低炭素化された火力電源の維持・活用に向け、CO2(二酸化炭素)を排出しない水素やアンモニアへの段階的な燃料転換などに向けた政策が不可欠だとした。

 提言書をまとめた中経連の勝野哲副会長(エネルギー・環境委員長)は「エネルギー自給率の低いわが国において、脱炭素に偏りすぎた政策では、エネルギー価格の上昇を招き、国内産業の競争力の低下や、サプライチェーンの構築を阻害する恐れがある」と指摘。「ものづくり産業の中心地である中部圏がカーボンニュートラルの実現と経済成長の両立を達成し、日本全体をリードしていくことが重要だ」と訴えた。

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