新八代駅からの「2次交通」を強化 AIバスや貸自転車、予約アプリも開発 八代市

新八代駅とくまモンポート八代を結ぶAIバス=3日、八代市

 八代市が3月以降、JR新八代駅を起点に新たな交通手段を増やしている。人工知能(AI)で最適ルートを走るバスの運行を始め、貸自転車の拠点を設けた。予約用のウェブアプリも提供。弱みだった駅から市内各所への〝足〟を確保し、市民や観光・ビジネス客の利便性を高める。

 新八代駅は新幹線や在来線のほか、熊本空港や宮崎駅行きバスが発着する熊本県南の交通結節点。ただ、市中心部から約4キロ離れ、路線・循環バス、乗り合いタクシーの乗り入れは4系統のみ。クルーズ船受け入れ拠点「くまモンポート八代」までの公共交通がないのも課題だった。

 市などが5月3日から実証実験として走らせるAIバスは、28人乗り1台が土日祝日の午前9時~午後5時、くまモンポートまで4往復する。中心部など途中3カ所に停留所を設け、料金は1日乗り放題で1人2千円(アプリ予約1500円、小学生以下無料)。8月5~23日は平日(水曜日除く)も運行する。

 市地域政策課は「新八代駅は2次交通が弱く、くまモンポートは八代港のにぎわい拠点だが、公共交通手段がなかった。10月まで2カ所を結ぶ路線を設けて利用状況を検証し、事業化の判断材料にしたい」と説明する。

「アウトドアステーションやつしろ」で貸し出す電動キックボード(右)と電動アシスト付き自転車=7日、八代市

 AIバスだけでなく、近距離移動に適した交通手段も登場した。3月、駅東口隣に「アウトドアステーションやつしろ」を開設し、電動アシスト付き自転車を1時間500円で貸し出す。5月からは電動キックボード(3時間2千円)も追加し、主に中心部を巡ってもらう。

 複数の交通手段を手軽に使うため、一連の情報をまとめたウェブアプリ「やつしろモビリティ」も開発。AIバス、自転車、キックボードの予約に加え、鉄道や既存バスの時刻表、市内の観光情報を調べられる。

 JR九州の資料によると、2022年度の新八代駅の乗車人員は1751人(1日平均)で市内最多。市が3月に発表した周辺のまちづくりグランドデザイン(基本構想)では、駅北東に大規模集客施設を整え、県南の人流・物流拠点化するとした。市地域政策課は「新八代駅から使える交通手段を充実させ、構想の実現につなげたい」としている。(河内正一郎)

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