愛子さま 来場者の誘導、最後まで残って後片付け…赤十字大会で見せられた「400分の裏方奮闘」

全国赤十字大会当日はスタッフとして参加された愛子さま /(C)JMPA

紺色のスーツをお召しの愛子さまは、付近に集まっていた人々の歓声に応え、車の中から笑顔をお見せになった。

5月15日、東京都渋谷区の明治神宮会館で「全国赤十字大会」が開催された。愛子さまは日本赤十字社(以下・日赤)の職員として日赤スタッフ用の赤いストラップを着用し、明治神宮会館に入られたのだ。

「愛子さまが現場入りされたのは、式典開始3時間前の朝8時ごろ。まずは当日の業務の説明などを受けられたようです。毎年の全国赤十字大会と2年に1回開催されるフローレンス・ナイチンゲール記章授与式は、天皇陛下が臨席されない皇后さまお一人によるご公務で、お車にも皇后旗が掲げられる貴重な機会となっています。

この大切なおつとめの場に、愛子さまも裏方として参加されたのです。“母娘初めての共闘”ともいえる歴史的な日となりました」(皇室担当記者)

全国赤十字大会は、日赤にとってもっとも重要な行事であり、職員や会員、ボランティアの代表など地方からも多数の関係者が出席する一大イベントだ。

「今年の参加者は約1600人でした。式典会場への入場は都道府県ごとになり、ひっきりなしにバスが到着します。愛子さまは、来場者のや案内を担当されたそうです」(前出・皇室担当記者)

日赤の名誉総裁を務められている雅子さまは、この日のために入念に準備を進められてきた。大会前々日の13日には御所で天皇陛下とごいっしょに、日赤の清家篤社長らから、この1年間の活動実績などについて説明を受けられている。

「昨年に続いて今年も、愛子さまもその場に同席されています。全国赤十字大会の重要性を、あらためて強く意識されたことでしょう」(前出・皇室担当記者)

万全を期して大会に臨まれた雅子さまだったが、当日は思わず涙ぐまれる場面があった。

「式典では実績活動報告の際に、金沢星稜大学・学生赤十字奉仕団の大久保百茄さんと、大阪赤十字病院の看護師・川瀨佐知子さんがスピーチしました。

大久保さんは能登半島地震後の炊き出しなどの支援活動について、そして川瀨さんはパレスチナ自治区ガザ地区の病院での活動などについて、それぞれ報告したのです」(前出・皇室担当記者)

看護師の川瀨さんは昨年7月から、日赤の国際要員としてガザ地区北部のアルクッズ病院で、現地の看護師に対する教育などに従事していたという。だが3カ月後の10月に、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突が始まってしまう。にぎやかだったガザ市も、「瓦礫の山と化し、街には砂ぼこりと焼けたにおいが充満」した状況に……。

戦禍の赤十字の活動について、川瀨さんはこのように語った。

「激しい攻撃が続き、自分たちも身の危険を感じるなかで、ICRC(赤十字国際委員会)のチームリーダーは『今こそ、私たちは人道支援を続けなければならない』とチーム全員に伝え、『命をつなぐ』ために、赤十字は活動を行いました。

そして、私はその一員として自分にできることを模索し、応急処置や薬剤の調達などを行いました。これまでの経験や知識を振り絞って、赤十字の看護師として患者さんと向き合いました」

■愛子さまは先輩職員たちも撤収するなかで最後まで

命懸けの救護活動に耳を傾けるうちに、雅子さまは目を潤ませていらしたのだ。川瀨さんは、生きて日本に帰ることができないという不安も募らせていたという。

「特に激しい攻撃が続くときは、寝る前に家族にメッセージを送り、『もう目覚めないかもしれない』と覚悟を決めて、目をつむりました」

式典終了後、雅子さまは川瀨さんと懇談され、「大変な環境だったのでしょう」、そう優しく声をかけられた。

「雅子さまは何度も何度も深くうなずきながら、川瀨さんとお話しされました。『現地の方と連絡は取れていますか?』などとお尋ねになり、最後に『現地の方々に、よろしくお伝えください』とおっしゃって、明治神宮会館を後にされたのです」(前出・皇室担当記者)

川瀨さんのスピーチや雅子さまのお姿を、モニターを通して確認されていたという愛子さま。皇室の方々が明治神宮会館を出発された後は再び、参加者たちの退場の誘導を始められた。

「退場も都道府県ごとで、すべての参加者が明治神宮会館から退出するまで、1時間以上もかかりました」(前出・皇室担当記者)

さらにスタッフとして詰めていた日赤職員たちも、次々に撤収していったが……。

「愛子さまが、お車で明治神宮会館を後にされたのは15時前。日赤職員たちのなかでも、いちばん後でした。会場の後片付けにも率先して従事されていたと聞いています」(前出・皇室担当記者)

雅子さまが名誉総裁として臨席された全国赤十字大会を、およそ400分間、裏方として支えられた愛子さま。そのご奮起の陰にあったのは“赤十字の一員として自分にできることを”という看護師・川瀨さんの言葉と、彼女を激励した母の姿だったに違いない。

© 株式会社光文社