諫早市が離脱の意向 長崎都市計画区域 土地利用の規制緩和で若者定着へ

 長崎県諫早市の大久保潔重市長は20日、近隣の2市2町とつくる県の「長崎都市計画区域」から離脱する意向を表明した。市街化区域と市街化調整区域とに区分する“線引き”制度を廃止し、土地利用の規制緩和を目指す。住宅やスーパー、企業のオフィスなどを建てやすくし、若い世代の定着を図る。
 市長は会見で「市が成長していくには特に若い世代の定着が不可欠。土地利用の自由度を高め、家を建てやすい状況を整えるのが前提と考えている」と述べ、2027年度の実現を目標に手続きを進めるとした。
 実現には長崎都市計画区域を設定している県の意思決定が必要で、今後、県や構成自治体などとの調整に入りたい考え。市によると、同様に線引き制度を廃止した県外の事例では早くて3~4年、長いケースで約10年かかっており、諫早市の場合も「相応の期間が必要」とみている。県内で廃止の事例はない。
 県は1970年、現在の諫早、長崎両市、西彼時津と長与両町からなる長崎都市計画区域を指定し、71年3月に同都市計画区域を市街化区域と都市開発を抑制する市街化調整区域とに区分する線引き制度を導入した。市は現行の土地利用制度は高度経済成長期に大きな効果を発揮した一方、制度化から半世紀が経過し課題が生じているとして見直しの検討を進めていた。
 市長は会見で、有識者らでつくる「諫早市の新しい都市計画」検討委からの答申内容を踏まえ、▽長崎都市計画区域から離脱し、単独の諫早都市計画区域(仮称)設定を目指す▽線引きは廃止し、現行の用途地域は継続する▽新たな都市計画区域に、コンパクトで効率的なバランスあるまちづくりを推進する補完制度を導入する-方針を示した。
 諫早市の方針表明について、県は取材に「市の考え方や意見を確認し、線引き制度の在り方について県として慎重に判断する必要がある」とした。

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