ハンドボール界に誕生した異質のスター軍団 参戦4年目、ジークスター東京が欲しい「日本一」の称号

プレーオフに臨むジークスター東京の(左から)土井レミイ杏利、豊田合成の古屋悠生、トヨタ車体の玉城慶也、トヨタ紡績九州の荒川蔵人の各主将【写真:荻島弘一】

日本リーグの男女プレーオフが25日から開幕

悲願のリーグ制覇へ「スター軍団」が頂点を目指す。48回目のハンドボール日本リーグは、25日から東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで男女プレーオフ(PO)を開催する。20日には「スローオフ・カンファレンス」としてPOに進出したレギュラーシーズン(RS)男女4位までの主将が都内で会見。新旧日本代表がズラリとそろうジークスター東京を率いる土井レミイ杏利主将(34)は「念願の優勝の喜びを、ファン、スポンサーと共有したい」と、リーグ初制覇に向けて力強く言った。

18年4月に「東京トライスターズ」として発足し、20年に「ジークスター東京」に改称して日本リーグ入り。加入した20-21年シーズンに10チーム中7位になると、翌21-22シーズンはRS3位、さらに昨年は2位でPOに進出した。しかし、ともに決勝直前で敗れて年間2位にも届かず。RS3位で臨む3年連続のPOで初の決勝進出と初優勝を狙う。

誰もが認める「スター軍団」だ。天才司令塔の東江雄斗(30)、アジアの大砲、部井久アダム勇樹(25)、技巧派レフティー、元木博紀(32)、大型ポスト、玉川裕康(29)ら昨年10月に36年ぶりにアジア予選を突破してパリ五輪出場を決めた日本代表選手がズラリ。現日本代表主将の東江に、東京五輪主将の土井、その前に主将だった信太弘樹(34)と日本代表を引っ張ってきた選手が並ぶ。

もっとも、スター選手を集めても勝てると限らない。部井久ら大学からチーム入りした選手もいるが、中心になるのは大崎電気など他の日本リーグ強豪チームからの移籍組。「いい選手をそろえるだけでは勝てないし、そんなにハンドボールは簡単じゃない」。土井は苦笑いで言った。

さらに、今年はチーム作りで苦しんだ。アジア大会、五輪アジア予選、アジア選手権と日本代表の日程が続き、選手がそろう時間が短かった。選手の疲労に加え「モチベーションなどメンタルな部分で、チームをまとめるのが難しかった」。発足6年、日本リーグ参戦4年目の「寄せ集め」チーム、まだ選手たちの拠り所となる「歴史」や「伝統」はない。「どうやってチームを1つにするか。そこが課題です」と土井は言った。

いまだ企業チームが中心のハンドボール界に誕生した異質の「スター軍団」。プロスポーツなら当然の「移籍」も「引き抜き」とされ、チームの在り方が批判されることもあった。「なにかと注目されるけれど、まだ何も成し遂げていない」と土井。「1つ目のタイトルをとって、そこから歴史を積み重ねていきたい」。強さをともなう真の「スター軍団」になるために「日本一」の称号が必要だ。(荻島 弘一)

【日本リーグ男女プレーオフ日程】

○男子
24日(金)ジークスター東京(RS3位)―トヨタ紡績九州(同4位)
25日(土)24日の勝者―トヨタ車体(同2位)
26日(日)25日の勝者―豊田合成(同1位)

○女子
25日(金)オムロン(RS3位)―アランマーレ(同4位)
25日(土)24日の勝者―ソニーセミコンダクタ(同2位)
26日(日)25日の勝者―北国銀行

THE ANSWER編集部

© 株式会社Creative2