京都の鴨川で特定外来生物が倍増 葉や茎からも根「水陸両用」で駆除追いつかず

鴨川で近年繁殖しているオオバナミズキンバイ。黄色い花が特徴だ(京都府提供)

 京都府は鴨川(京都市)で近年、繁殖が進む特定外来生物の水草「オオバナミズキンバイ」の繁殖箇所が、昨年12月時点で342カ所と前年の2倍を超え、調査を始めた2017年以降で過去最多となったと明らかにした。既存の生態系に悪影響を及ぼす恐れがあり、対策に頭を悩ませている。

 中南米原産のオオバナミズキンバイは葉や茎の断片からでも根を生やす強い繁殖力が特徴。鴨川では17年ごろに初確認され、下流域での農業被害や生態系の変化が懸念されるため、府や市民団体「鴨川を美しくする会」などが駆除に取り組んでいる。

 府が白川放水路合流地点~桂川合流地点の約10キロを調査したところ、繁殖箇所は342カ所と22年(140カ所)の2.4倍となり、これまで最多だった20年の235カ所を大きく上回った。繁殖面積は3800平方メートルと20年の7600平方メートルを下回ったものの、過去2番目の規模だった。府によると23年は台風などによる増水が少なく年間を通して高気温だったことが影響した可能性があるが、詳細な分析はできていないという。

 鴨川の保全について官民が意見交換する「鴨川府民会議」の3月の会合で、メンバーの有識者らから「琵琶湖でも(繁殖が)続いており、根絶はかなり厳しい」「水陸両用でどんどん繁殖するため、防除の予算をしっかり確保してもらいたい」との声が上がった。

 繁殖のペースに駆除作業が追いついておらず、府自然環境保全課は「予算の関係で駆除箇所を大幅に拡大することは難しいが、市民団体の力も借りて地道に取り組みたい。天候と繁殖の因果関係などを分析する必要もある」としている。

 

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