世界選手権で女性初の審判に 剣道の西陵高・福田教諭 「失敗を恐れず堂々と」 長崎

世界選手権の審判に選ばれた福田教諭(西陵高教)=諫早市小野体育館

 7月にイタリア・ミラノで開かれる剣道の第19回世界選手権に、西陵高剣道部監督の福田美佐子教諭が女性初の審判員として参加する。筑波大4年で出場した1997年の第10回大会(京都)で、日本女子を団体優勝に導いた49歳。長崎を代表する剣士は「失敗を恐れず、堂々とやりたい」。選手だった前回とは違う立場で2度目の大舞台に立つ。
 佐世保市出身。2人の兄の影響で、宮小2年から竹刀を握った。宮中3年で全国中学大会出場。高校はいくつかの学校の練習に参加した上で、片山倉則・現西陵高師範が率いていた長崎西高を選んだ。きびきびとした雰囲気が決め手だった。
 親元を離れて下宿生活を送り、剣道に打ち込んで頭角を現した。2年時のインターハイは団体、個人で8強。3年時の九州大会は団体で優勝、玉竜旗で3位に入った。卒業後、教師を志して筑波大に進学。その年すぐに関東学生王者となり、全日本学生選手権(インカレ)も準優勝した。
 インカレは2年と4年で団体優勝。大学卒業の年に、日本Bチームの中堅として世界選手権に出場した。29チームで競ったトーナメント。「日本よりも礼儀正しいような国もあって、思ったより外国でも剣道は盛んなんだな」と驚いた。日の丸を背負う重圧から「下手なことはできない。きちんとせんばと思ったら空振りしたり」。緊張もしたが、カナダや米国、韓国などを破って勝ち進み、日本Aチームとの決勝では2本勝ちして世界一に貢献した。
 全日本選手権は高校、大学時代を含め16回出場して3位が3回。得意技は小手や引き技で、相手に打たせない剣道が持ち味だ。2013年の昇段審査で、女性の現在の最高位七段に一発合格。中堅で出場した14年の長崎がんばらんば国体も全勝して、成年女子初優勝の立役者になった。長崎西高の女子、西陵高の男子を団体日本一に導いた片山師範が「自慢の教え子」と相好を崩すほどの実績を重ねてきた。
 これまで世界選手権の審判は範士八段に限られていたが、今回から七段を持つ女性にも門戸が開かれた。その第1号。日本からは自身を含めて2人が派遣される。「範士八段の先生方に比べれば、私なんて全然うまくないと思う。それなのに連れていってもらえる。『女子はダメだな』って言われないように頑張りたい」。全神経を研ぎ澄ませて「有効打突」を見極める。

© 株式会社長崎新聞社