イラン大統領が乗ったヘリ墜落、原因は何だったのか―中国メディア

21日、環球時報は、イランのライシ大統領の乗ったヘリコプターが墜落した事故の原因について紹介する記事を掲載した。

2024年5月21日、中国メディアの環球時報は、イランのライシ大統領の乗ったヘリコプターが墜落した事故の原因について紹介する記事を掲載した。

記事は、イランメディアが19日にライシ大統領の乗ったヘリが「ハードランディング」事故を起こしたと発表したことを紹介。中国の航空専門家、王亜男氏が「イランメディアの表現が正確ならば、ヘリはコントロールを失って山に墜落したのではなく、すでに着陸準備に入る中、何らかの理由により地面に強く衝突した衝撃を受けたことになる」と説明したことを伝えた。

また、ライシ大統領が搭乗していたとされる米国製汎用ヘリ「ベル212」について、最大離陸総重量5.1トン、経済巡航高度1220メートル、経済巡航時速230キロ、最大航続距離420キロで、 1960年代に量産が開始されたと紹介。 スキッドマウント式の着陸装置を採用しており、理論的には着陸時の衝撃を吸収しやすい設計となっているものの、事故現場の写真では機体がひどく損傷しており、着陸時にかなりの衝撃を受けたことが分かるとした。

その上で、ヘリ墜落の原因について、数十年にわたる米国の対イラン制裁と禁輸措置による、使用期間の長さと整備不良が関係しているとの憶測があるとし、イランがイスラム革命前の1970年代に親欧米派のパーレビ国王によってベル212を含む大量のヘリを米国から購入し、整備機器を導入したものの、79年の革命後に米国が厳しい制裁を発動したことで米国から部品調達が困難になった背景を紹介した。

一方で、米国の航空メディアはイランが当時輸入した整備機器を使ってベル212の部品や機体全体のリバースコピーを作成し、国産改良モデルを公に展示してきたこと、第三国のルートを通じて最新の米国製部品を入手し続けている可能性を指摘したと伝えている。

記事は、ヘリ墜落の主要因の一つが天候の問題だったと考えられていると紹介。現地メディアの報道では墜落現場がタブリーズの北約50キロの山岳地帯にあり、事故当時大雨などの悪天候で視界が非常に悪かったと報じたことを伝え、王氏が「ヘリコプターは固定翼機よりも悪天候に対応する能力が低いため、大雨や霧などの悪天候に遭遇した場合、一般的に計器航法装置に頼って安全なルートを確保し、高さを維持する必要がある。しかし、今回の事故では視界の悪さに加え、山間部で適切な着陸地点がなかったため、ヘリコプターが危険を回避するのは非常に困難だった」との見方を示したことを伝えた。(翻訳・編集/川尻)

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