新潟・新発田市で5人の女性襲い2人死亡…無期懲役確定の喜納尚吾被告 別事件の控訴審も“無期懲役”「到底納得できない」【遺族コメント全文】

2014年、当時20歳の女性にわいせつな行為をした上で殺害した罪などで新潟地裁で無期懲役を言い渡された男の控訴審の判決公判が5月17日に開かれた。東京高裁はそれぞれの控訴を棄却し、1審判決を支持した。男は、別の強姦致死罪などですでに無期懲役刑が確定しているが、5人の女性を襲い、このうち2人が命を落としている。遺族は「到底納得できない。まだ諦めたくない」とのコメントを発表した。

無期懲役判決に検察・弁護側ともに控訴

2014年1月、通勤中の当時20歳の女性が運転する車に乗り込んで連れ去り、わいせつな行為をした上で殺害した罪に問われている喜納尚吾被告。

2013年に別の4人の女性に対して強姦やわいせつ略取をし、そのうち1人を死亡させた罪などで無期懲役が確定していた中、2022年に開かれた裁判員裁判で新潟地裁は「被告が犯人であることは間違いない」として2度目となる無期懲役の判決を言い渡した。

死刑を求刑していた検察と無罪を主張していた弁護側はこの判決を不服として控訴。

2024年2月に開かれた控訴審の初公判で検察側・弁護側ともに証拠請求などを行ったが、東京高裁は事実の取り調べはしないとして即日結審していた。

東京高裁は控訴棄却「1審判決に事実誤認ない」

事件から10年以上が経過して迎えた控訴審判決の日。丸刈り姿に上下黒のジャージを着て出廷した喜納被告。

東京高裁の判断が注目される中、齊藤啓昭裁判長は「本件各控訴を棄却する」と検察・弁護側双方の控訴を棄却し、1審の無期懲役判決を支持した。

うつむきながらこの判決を聞いていた喜納被告。

齊藤裁判長は「女性が各被害を受けたのとほぼ同じ時間帯に被告人が女性の車のハンドルを触れたことになり、被告人が犯人と認められる」などとして事件性やDNA鑑定について1審の判決に事実誤認はないと指摘した。

「死刑の選択が検討されるべき事案」と指摘も

一方、無期懲役が確定している強姦致死罪など4件も考慮し、死刑を求めていた検察側。

齊藤裁判長は「実質的に再度処罰する趣旨で考慮することは許されないが、犯行に至る経緯等として考慮することは許される」との見解を示し、「半年前からわいせつ略取・強姦致死事件を含む前4件を犯した被告人が、これに引き続いてわいせつ略取・強制わいせつ致傷・殺人の犯行に及んだことに加え、全く落ち度のない被害者が殺害された結果の重大性等に照らし、本件犯情が甚だ悪く、殺害された被害者が1名であっても、死刑の選択が検討されるべき事案である」とした。

その一方で、「計画性があったとは認められず、死刑が究極の刑罰であり、その適用は慎重に行われなければならないという観点及び公平性の確保の観点を踏まえれば、本件に死刑を選択することが真にやむを得ないとまで言えず、無期懲役を選択した判決の量刑が軽過ぎて不当であるとは言えない」などと1審の無期懲役を支持した。

判決後に遺族「到底納得できない」

この判決後、遺族がコメントを発表した(以下全文)。

「娘は10年前に未来ある人生を突然奪われました。その意味や重さ、罪を喜納は認めるどころか、なんとか罪を逃れようと必死です。女性として最も卑劣で尊厳を踏みにじられた形で命を奪われ、どんなに無念だったろうと娘の気持ちを思うと胸が苦しくなり、喜納に対して怒り、強い憎しみを抱かずにはいられません。娘だけでなく、亡くなったほかの被害者や被害にあった女性の方々、私たち親族の気持ちを代弁して法で裁いてもらいたい、その思いで沢山の方の力をお借りして裁判に臨んで参りました。本日の控訴審で第1審の無期懲役の判断が維持されたことについては到底納得できません。当初から望んでいるように、喜納には極刑が相応という気持ちは今も変わっていません。まだ諦めたくないという思いです。最後に今日まで戦うことができたことについて、警察や検察庁、犯罪被害者支援センターの方にこの場をお借りして、深く感謝を述べさせていただきたいと思います」

弁護側は喜納被告と相談した上で、上告を検討するとしている。

(NST新潟総合テレビ)

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