会社と社会を変える“株主提案”を豪環境NGOが日本のメガバンク&企業に実施…その内容とは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、気候変動に関する“株主提案”について取り上げました。

◆会社と社会を変える"株主提案”

オーストラリアのティウィ諸島でガス田開発が行われるなか、資金を出資している日本の3つのメガバンクと中部電力に対し、オーストラリアの環境NGO団体「マーケット・フォース」らが株主提案を行いました。気候変動関係のガバナンス(企業統治)を問う株主提案は初で、日本で気候変動に関する株主提案が可決された例はないものの、非常に大きな注目を集めています。

そもそも"株主提案”とは、「株主総会で株主が取締役の選任や解任、定款変更などの議案を諮ること」。要するに会社に対して変化・改善を求めるべく株主が動くことで、株主総会の2ヵ月前までに行わなければならないとされていますが、その数は年々増加傾向にあるということです。

◆豪NGOがメガバンクに"株主提案”

今回は、株主提案を行ったマーケット・フォースの渡辺瑛莉さんにインタビューを実施。マーケット・フォースの活動理念について、渡辺さんは「気候変動を助長するような企業活動への資金の流れを止める、それによって気候変動を解決に導くようなエネルギー移行を企業にしていただくような働きかけを行っています」と説明します。

その上で、「本来であれば、科学に基づけば開発してはいけない部分であっても、メガバンクはこうした企業・事案に投融資を行っている。これは人権侵害も起きていて、そういった意味でも投融資をすることは企業の評判リスクになる。社会的によくないような事業に企業が加担することで企業のイメージとかも含めて棄損され、それがゆくゆくは市場を縮小してしまうとかそういったリスクにもなっていく」と注意を促します。

ジャーナリストの春川正明さんはこの一連の動きを「素晴らしいことだと思う」と絶賛。過去、日本で株主提案がニュースになるときは会社の乗っ取りなどネガティブな報道が多かったとし「"シャンシャン株主総会”といって何事もなく早く終わるのがいいと、日本の株主総会は今までおかしかった」と指摘。「株主総会というのは年に一度、株主が意見を言えるところなので、こうしたことはとてもいい流れ」と喜びます。

近年、株主提案は増加しており、例えば、去年の8月にはドラッグストア大手「ツルハ」で取締役交代案が提出されました。また、今年4月にはテレビジャーナリズム萎縮防止目的の市民グループが政治家らによる報道への介入防止策などをテレビ朝日HDの定款に追加するよう求めるなど、さまざまなアプローチがなされています。

臨床心理士のみたらし加奈さんは、マーケット・フォースの動きを「気候変動のことに関しては、意思決定権があるところに働きかけることが最も大きなインパクトを生むと言われているので、すごくいい取り組みだと思う」と称賛。さらには、「最近は、経団連などが選択的夫婦別姓についていろいろ発信されているが、そういった取り組みが社会を変えることもあると思うので、見守っていきたい」と今後の流れに期待を寄せます。

株式会社ABABA代表の久保駿貴さんも「声を上げて、それが受け入れられ、対話が生まれる環境ができたことは素晴らしいと思う」と称えつつ、気候変動問題はもはや待ったなしの状態とあって「気候変動・環境に関してはどの企業ももっとしっかり注視して実行していくべき」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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