花粉少ないスギ、供給本格化へ 岩手県が開発、飛散量は半分程度

花粉の少ないスギ。採種園で種子を生産している=奥州市江刺(県林業技術センター提供)

 岩手県が開発した花粉の少ないスギの苗木供給が今秋にも本格化する見通しとなった。飛散量は一般的な品種の半分程度で、20万本を供給予定。計画的に増産し、全国3位の面積がある人工林の植え替えを進める。政府は30年後の飛散量半減に向け、集中的に伐採を促す「重点区域」に県内10市町村を指定。国と連携し「国民病」ともいわれる花粉症の対策を加速させる。

 県林業技術センターは2015年から、奥州市江刺の採種園で花粉の少ないスギの種子生産に取り組んできた。18年に初めて2キロの採取に成功して以降、面積を拡大し、22年に8倍となる16.5キロを採取した。

 種子は県山林種苗協同組合を通じて苗木生産者が育てる。23年春に種をまき、30~45センチに生育した苗木は20万本に上る見込み。これまで主に国有林に植えてきたが、まとまった量を確保できるめどが立った。

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