益子さん(牧区棚広)国展で最高賞 「うみがたり」のゴマフアザラシ ジローに感動、彫刻に

益子さんが制作し、国画賞を受賞した木彫「ジロー」

牧区棚広の益子康平さん(33)は美術団体、国画会の公募展「国展」の彫刻部で最高賞に当たる「国画賞」を受賞した。地元産のケヤキを使い、上越市立水族博物館「うみがたり」の日本最高齢のゴマフアザラシ「ジロー」を彫った。

益子さんは神奈川県出身。上越教育大大学院美術コースで彫刻を学び、東京での小学校教員を経て大学院時代に知り合った妻、泉さんの地域おこし協力隊採用に伴って再び上越に居を移した。専門学校の教員を務めながら木彫に取り組み、同展では5回入選、初の入賞が最高賞に輝いた。

ジローは大学院在学中に旧水族博物館で見ており、うみがたりで〝再会〟して変わらない姿に感動したことが制作のきっかけになった。素材のケヤキは区内の重機土木会社が伐採した牧産木材の提供を受け、飛び出したコブを頭部に、根を尾の形に生かして制作した。のみで削る時に意識して硬いケヤキで柔らかいアザラシを表現した。

東京時代は騒音や広さなどの制作環境や素材の入手などで木彫に行き詰まりを感じていたという。牧に移ってからは今回のような素材の提供や、木工所からのサポートがあり、近所の人から声をかけられたり、チェーンソーを譲ってもらったりと地域に溶け込んでいる。

益子さんは「期待はしていたが、(国画賞の)受賞は驚いた。周囲の人たちのおかげ」と感謝の思いを話した。受賞作「ジロー」は高さ約2・3メートル、重さ300~400キロ。機会があれば展示して成果を発表したいと考えている。今後は「地元の木を使って住んでいる棚広をテーマにした作品も作ってみたい」と話した。

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