サッカーもバレーもバスケも出ない韓国のパリ五輪…“唯一の希望”女子ハンドが抱える負担と覚悟

サッカーも、バレーも、バスケも出ない。韓国の団体球技種目で唯一パリ五輪に出場する女子ハンドボール代表が悲壮な覚悟を伝えた。

来る7月に開幕するパリ五輪で、韓国は実施種目から外れた野球を除き、サッカー、バスケ、バレーといったメジャー種目で男女ともに出場権獲得に失敗した。

そのほか、男子ハンドボール、男女ホッケー、男子7人制ラグビー(女子は予選不参加)、男女水球でもパリ行きの切符を逃した。

結局、生き残ったのは女子ハンドボールだけだった。

女子ハンドボール韓国代表の選手たちは、並々ならぬ覚悟を抱いて五輪の舞台に臨む。

4大会ぶりのメダル獲得へ

1984年ロサンゼルス五輪から11大会連続で本大会出場を成し遂げた女子ハンドの選手たちは、「肩が重い。プレッシャーがないと言えば嘘になる」としつつも、「自分たち自身に完全に集中し、自分たちがやり遂げられることをする」と決意を明かした。

5月20日、忠清北道(チュンチョンブクト)鎮川(チンチョン)郡にある鎮川選手村で行われた「女子ハンドボール国家代表チームメディアデー」で、女子ハンド代表の選手、コーチ陣は口をそろえて「全力を注ぐ」と誓った。

代表率いるスウェーデン出身のヘンリク・シグネル監督(48)は、「選手たちが毎日汗を流している。流した汗が無駄にならないことを願っている。今回のオリンピックは我々にとって難しい挑戦だ。しかし、守備と攻撃で我々が目標にしたことをやり遂げれば、対戦相手にとって我々は気まずい相手となるだろう」と話した。

(写真=韓国ハンドボール協会)ヘンリク・シグネル監督(中央)

代表キャプテンを務めるレフトウィングのシン・ウンジュ(30)は、「欧州のハンドボールの戦力が上方平準化され、厳しい試合を予想している。しかし、強いチームワークと意志でこの逆境を乗り越えようとしている。すべてを注ぎ込み、悔いのない試合をする。自分たちが持つすべてをかけて戦う。多くの関心と応援をお願いしたい」と力を込めた。

韓国はパリ五輪でノルウェー、ドイツ、スロベニア、スウェーデン、デンマークと同じグループAに入った。グループB含め計12カ国が出場するなか、各組上位4位までがベスト8に進出し、以降は準々決勝、準決勝、決勝と戦う。

シン・ウンジュは「グループ突破を1次目標とし、ベスト8のトーナメントに進出する。そうすれば、トーナメントなだけに我々にもチャンスが訪れるはずだ」と伝えた。

韓国は女子ハンドで五輪通算6枚のメダルを獲得しており、伝統の「孝子(ヒョジャ)種目」とされてきた。韓国では五輪でメダル獲得が確実視される競技や種目のことを、「(国に)孝行している」という意味で「孝子種目」と呼んでいる。

しかし、金メダル2枚(1988年ソウル大会、1992年バルセロナ大会)、銀メダル3枚(1984年ロサンゼルス大会、1996年アトランタ大会、2004年アテネ大会)、銅メダル1枚(2008年北京大会)を獲得した後、2012年ロンドン五輪から前回の2021年東京五輪まで、3大会連続でメダルを獲得できていない。

パリ五輪出場メンバー内でも五輪経験者は5人に過ぎず、それも前回の東京五輪。当時、韓国は準々決勝でスウェーデンに敗れ、メダル獲得を逃していた。

(写真=韓国ハンドボール協会)シン・ウンジュ

現場でも、韓国女子ハンドの“危機論”は認められている。

韓国ハンドボール協会のパク・ヒョン副会長は、「世界ランキングも落ちいる。正直に言って、今回の五輪メダルも感嘆ではないということを知っている」と伝えた。

しかし、「指導者、選手、協会がチームとして一丸となり、最善を尽くして準備する。毎試合が決勝戦だと思って臨む」とし、名誉回復のために最善を尽くすと強調した。

5月13日に選手村に招集された女子ハンド代表選手たちは、来る6月1日まで選手村で1次練習を行った後、翌日に韓国を出国し、スウェーデンとノルウェーで欧州キャンプを行う。出国直前には、男子ハンド韓国代表の常備軍と2度の練習試合を行い、実戦感覚も引き上げる計画だ。

シグネル監督は「約2カ月の時間が与えられた。すべてを準備する時間はない。そのため、一つや二つだけに集中しようとしている。強い体力をつけるため、厳しいトレーニングを行う」と明らかにした。

韓国は国内と海外を行き来してキャンプをこなした後、7月19日よりパリ五輪開催国フランスに入国。現地への適応を勧めた後、25日からパリ五輪本大会第1戦のドイツ戦を皮切りに、五輪メダル獲得への挑戦を始める。

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