クララ・マグラ[ライブレポート]半周年でたどり着いた8人の“叫び”が織りなすヘヴィネスとハピネスの狂騒

クララ・マグラ[ライブレポート]半周年でたどり着いた8人の“叫び”が織りなすヘヴィネスとハピネスの狂騒

レーベル『サークルライチ』所属のクララ・マグラが、5月8日(水)に渋谷・WOMBLIVEにてワンマンライブ<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>を開催した。

“人間のリアルな心、感情の叫びを表現していく”をコンセプトに掲げる彼女たちは、同公演であふれる想いを込めながら変幻自在なステージを展開し、大きな熱狂を生み出した。

本記事では、クララ・マグラの8人が圧倒的なパフォーマンスを轟かせた同公演のレポートをお届けする。

取材&文:冬将軍

撮影:saru

2024年5月8日(水)、クララ・マグラが結成半周年となるワンマンライブ<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>を渋谷・WOMBLIVEにて開催した。昨年2023年11月2日にレーベル『サークルライチ』の決起集会と言うべきイベント<サブカル Vol.零>で、同レーベル“第弍期生グループ”としてステージデビューをした場所での凱旋ワンマンライブである。

不穏な空気と胸騒ぎを呼び起こすSEがけたたましく響き渡ると、大正浪漫をテーマとした衣装を纏った風変わりな8人がステージに現れた。「肥大!自己愛!!無問題!!!」でクララ・マグラのワンマンライブは幕を開ける。あんりゴンの太い歌声が突き抜け、ディスコチューンに合わせてステージ上からのエネルギーに呼応するようにフロアが縦に揺れていく。

あんりゴン<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

“クララ・マグラ半周年ライブ、みんなの叫びを私たちに聞かせてください、騒げ!!”

間髪入れずに鳴る不気味なギターフレーズに合わせて、あんりゴンが叫んだ。「威風堂堂」へ傾れ込む。青莇みけが悪戯な目つきでフロアを睨み、愛枢シノアが不適な笑みを浮かべる。昭和歌謡の香りかぐわすクララ・マグラ流レトロックが豪快に掻き鳴らされる。

青莇みけ<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

クララ・マグラがステージデビューをしてから半年間の活動は順風満帆とは言えないものだった。兎宵なすずとロキソ・リン、2名の新メンバーを加え、8人編成となったのはこのライブのつい2週間ほど前のことである。しかしながら、この日のクララ・マグラのステージを初めて観る者がいたなら、そういった事情は説明しなければわからないものだろう。それほどまでに堂々としていて、エッジィなパフォーマンスで攻めてくるのだ。8人がステージに横並びとなった時の迫力にねじ伏せられる。

兎宵なすず<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)
ロキソ・リン<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

無国籍なサウンドが観る者の心身ともに揺さぶりをかけてくる「妄想ディストラクション」。カラミのしゃくるようなボーカルが、零月なぎの実直な歌声が、オーディエンスの昂揚を掻き立てていく。《私は世界一のお姫様》と歌い上げるにゃんもながフロアを制し、《私はこの世界唯一の神様》とあんりゴンが完全に会場を支配した。

カラミ<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)
零月なぎ<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

前夜に緊張して眠れなかった結果、大寝坊したというなすずを筆頭に、皆が遠足のような楽しみを胸に抱いて迎えたという本ライブ。その気合いをぶつけるようにみけが煽る。

“今日は(ライブタイトルが)「叫び」ということで、全員叫べますかーッ!!”

その声に誘発されるよう「痛いカンジョウセン」へ突入。哀愁感漂うメロディを8人が紡いでいく。続く新曲「メーデー」といい、エッジを効かせたギターが引っ張るソリッドなバンドサウンドが耳に突き刺さり、文字通りの8人の“叫び”がオーディエンスに襲いかかる。それは“人間のリアルな心、感情の叫びを表現していく”というコンセプトを掲げるクララ・マグラの真髄と言うべきものである。後曲におけるリンの真っ直ぐな歌声と、Dメロでのシノアの歌に入ってくるなすず、グループに変化をもたらした2人が重なるハモリのパートは、これからのクララ・マグラを照らしていく光のようだった。

にゃんもな<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)
愛枢シノア<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

鋭利なバンドサウンドの2曲とは打って変わって、「DEATH AND RAMEN」、「Pandemonium」は、ヘヴィなバンドサウンドと多彩なエレクトロサウンドが織りなす変態的なリズムが躍動する、中毒性を帯びた2曲だ。狂気性を持ったヘヴィネスと多幸感を放つハピネスが共存しながら猛り狂う。このレンジの広さこそが、クララ・マグラというグループの懐の広さであり、面白さである。8人がステージで作り上げる大きなグルーヴに導かれるよう、オーディエンスによる全力のヘドバンがフロアを覆い尽くした。

<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

1人ずつ、新衣装のお気に入りポイントを語ったあとは、「退屈ガラパゴス」のアイドル的な華やかなパフォーマンスで魅了した。対して「みくりやこころ」はカバーでありながら、もはやオリジナル曲であるかのごとく硬派なステージングでフロアを圧倒する。そのまま再びバンドサウンドで攻める「嘘」へ流れていく。間奏では“ここでお待ちかね、スクワットターイム!”と、みけの号令でオーディエンスの身体が上下に大きく動いた。どこか不気味さを漂わせつつもあでやかな側面と硬派な側面、こうして時折見せるコミカルさ。それぞれを使い分けながら変幻自在にライブを展開していく、それがクララ・マグラの武器である。

“半周年、僕たちについてきてくれてありがとう”とシノアの言葉のあとに送られたのは、ラストナンバー「ツキノシルベ」だ。しっかり丁寧に歌う8人が放つ希望を導(しるべ)に変え、大盛況の中でライブは幕を閉じた。

最後にメンバー1人ひとりが想いを口にした。

にゃんもな:

学校も仕事も半年続いたことがなかったし、遅刻と欠席とかが多かったです。でもアイドルになって、初めて休まないで半年間続けられました。みんなのおかげです。ありがとうございました。

愛枢シノア:

半年前、まだクラマグに入ることも決まってなくて。デビューライブをYouTubeで観てた側なんですけど。まさか観てたグループに入ることができて、とてもとても嬉しい気持ちでいっぱいです。半周年といわず、1年、2年……10年、またこのメンバーでたくさんの周年を迎えられたらいいなと思っております。本日は本当にありがとうございました。

カラミ:

私は高校卒業してすぐ上京して。できることがあまりなくて……今もできないことがあるし、お話とかもウマくなくて。でもそんな自分に“(そのままで)いいんだよ”って言ってくれるのが嬉しくて。いつもありがとうございます。こんなに来てくれて愛されてるのが嬉しいです。これからも一緒にいてほしいです。みんな大好きだよ。

ロキソ・リン:

半周年ライブということで、我々(隣にいた兎宵なすずと)はまだ(加入して)2週間とかしか経ってなくて、本当にこの場所に立っていいのか不安だったんですけど。“入ってくれてよかった”とか、自分についてきてくれる人がいたりとか、そういう人がいてくれるおかげで、自分ができる最大限のカッコいいステージができました。“6人より8人の方がカッコいい”と言ってもらえるように、ここまでやってきて、これからも頑張りたいと思っているので、どうぞよろしくお願いします。

兎宵なすず:

私も(加入して)2週間とかしか経ってない身なんですけど、こんな景色が見られて嬉しいし。クララ・マグラのライブをみんなと同じで(フロア後方を指差しながら)あっちの方で観てたから、一緒にこうやってステージに立てるのが幸せだし、もっともっと“6人の時より8人の方がパワーアップしたね”って言われるようにしたいから、もっと強く生きます。

青莇みけ:

僕は将来の夢がなくて。アイドルに誘われて興味があったので、特に目標もなく始めたんですけど、今はこのメンバーで高みを目指したいという夢ができました。そう思えたのも来てくれたみんなのおかげだし、メンバーのおかげなので、これからもこの8人で誰1人欠かさず、1周年、2周年、もっと上まで頑張りたいと思うのでついてきてください、お願いします。

零月なぎ:

私は本当に何もない人間だったんですけど、こんなに夢中になれることができて、みんなに愛されて。こんなに愛されていいのかなって日々思ってます。ありがとうございます。これからもいろんな景色を見せたいし、一緒に見たいので、ずっと好きでいてください。

あんりゴン:

クララはデビューしてから、いろんなことがあって……(涙)。メンバーが欠けちゃったりとか、こうやって応援してくれる人を不安にさせてしまったりとか。メンバー、私も不安になったり……。でもシノアが入ってくれて6人でしがみついて、がむしゃらに走ってきて。半月前にリンとなすずが入ってくれて、今こうやって半周年を迎えられて、こんなにたくさんの人が来てくれて私はとっても嬉しいです。ありがとうございます。アイドルっていう職業は大変で、労力も時間もたくさん掛かるし制限もたくさんあるし。でもなんで続けてるんだろうと思った時に、こうやってライブを一緒に楽しんでくれるみんながいるからこそ、みんなに会いたいからこそ、続けていきたいんだなと思いました。私たちは会場に足を運んでくれる人がいないと、みんなが会いに来てくれないと、私たちが“会いたい”と思っても会うことができないので、これからもずっと応援してくれると嬉しいです。クララ・マグラ、この8人を愛していただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

そして最後の最後に発表された<結成1周年クララ・ドグラ・マグラ」>の開催アナウンスで会場は大いに沸いた。

これまでの活動は序章に過ぎず、8人のクララ・マグラの物語は今ここから始まろうとしている——。そう確信した半周年ライブだった。

<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>WOMBLIVE(2024年5月8日)

<クララ・マグラ主催 結成半年記念『叫び』>

【インフォメーション】

<クララ・マグラ主催1周年記念『クララ・ドグラ・マグラ』>

日程:11月6日(水)

会場:Spotify O-WEST

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