ヤマダHD/家電流通業界に特化したAIロボティクス創出で業務提携

ヤマダホールディングスとANAホールディングス発のスタートアップであるavatarinは5月21日、ヤマダHDの「くらしまるごと」戦略による事業成長にあたり、家電流通業界に特化した接客AIサービスの創出に向けた業務提携の締結に合意した。これにより、店舗開発・拡大における人手不足の課題解決に向けて接客の接点増加と品質向上を目指す。

<業務提携の概要と目的>

業務提携により、「家電流通業界に特化した接客AIサービスの開発」「家電流通業界に特化した接客AIサービスの小売業界への展開」「人手不足の対策」の3つに取り組む。家電流通業界に特化した接客AIサービスの開発では、両社は、avatarin独自のAIロボティクス技術を活用して、国内外で1万を超える拠点数を有するヤマダHDグループの持つ接客スキルを反映したAIサービスの創出を目指す。

avatarinが独自開発しているAIロボット「newme(ニューミー)」を遠隔操作して接客にあたることで、ヤマダHDグループの持つ接客スキルをデータ化し、そのデータから生成AIを活用して学習し、接客AIサービスを開発する。そして、接客AIサービスを活用した店舗における接客の接点を増加させる。また、これを店舗開発や人材育成・開発に活用することで、ヤマダHDの「くらしまるごと」戦略の体現を目指す。

また、家電流通業界に特化した接客AIサービスの小売業界への展開では、ヤマダHDの5つの事業セグメントのうち、「住建」「金融」「環境」 「その他」への接客AIサービスの展開を想定する。さらに、開発した接客AIサービスを基に、接客以外の在庫や宅配などに対してもAIサービスを開発する。

人手不足の対策では、ヤマダHDグループの働き方改革を推進するほか、店舗間の人材シェアを想定した、全国リソースの有効活用を検討している。将来的には、このAIサービスを小売業界へ横展開することで、人手不足問題の解決に寄与し、増加する需要を取り逃がさずに充足させていくことで家電流通業界のみならず日本の小売業全体を支える。こうした戦略の実現に向けて、これまで積み重ねてきた両社の知見やネットワークなどが必要と判断し、業務提携を行うことに合意したという。

<AIロボットの接客イメージ>

衣食住の「住」をまるごと支え、社会インフラに位置付けることが可能なヤマダホールディングスの事業は、人口減少・少子高齢化、世界的な環境課題の深刻化や市場環境が大きく変化する中、「くらしまるごと」戦略による各事業のつながる経営をより強固なものにして、事業成長を加速している。今後の出店拡大に伴う店舗の省人化と消費者の購買行動変容への対応のため、店舗における顧客体験向上が一層求められており、テクノロジーを活用した一気通貫の基盤づくりを推進し、また、既成概念の枠組みにとらわれない成長投資を拡大することを通じて、「くらしまるごと」戦略を体現することが重要となっている。

avatarinは、ANAホールディング発の初めてのスタートアップとして、アバターを中心とした「遠隔からAI化」という独自の技術を用いて、コミュニケーションに特化したAIサービスの開発を目指している。独自開発したクラウド通信プロトコルと専用基板などを含むアバターコアと呼ぶマルチモーダルAIソリューションを活用して、大容量かつ多種多様なデータの超低遅延での伝送や蓄積、エンドツーエンド(end-to-end)での暗号化を可能にしている。

これらAIロボティクス技術を用いてヤマダHDと連携することで、これまで取得できなかった家電流通業界の接客スキルのデータを反映した接客AIサービスの開発を行う。まずは、各業界のプロフェッショナルがロボットを遠隔操作するサービスを構築し、マルチモーダルなデータ(見て、聞いて、話して、動くデータ)を取得していき、取得したデータを生成AIなどと組み合わせ、チャットだけではない、見て、聞いて、話して、動くことのできるマルチモーダルAI化を進める計画だ。

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