5人の2敗力士は戦々恐々…夏場所混沌V争いのカギ握る「無冠の帝王」充電100%で帰還

すくい投げで豊昇龍を破る高安(右)/(C)共同通信社

手ごわい男が土俵に帰ってきた。昨20日の大相撲5月場所9日目、結びの一番で大関・豊昇龍を破った元大関の高安(34)だ。今場所は初日から2連勝したものの、3日目から腰痛で休場。再出場一発目の土俵だった。

立ち合いでなかなか手をつかない大関にも動じることなく、正面からぶち当たって圧倒。すくい投げで撃破した。支度部屋では「(豊昇龍が手をつかないのは)毎度のこと」と、現役大関をチクリとやると、再出場に関しては「今までも経験がありますから。しょうもない相撲は見せられない。(中途半端で出て勝つよりは)100%の力で負ける方がいい」と、矜持を語った。

そんな元大関がカギを握るのが、今場所の賜杯争いである。9日目を終えた時点で、優勝戦線のトップは大関・琴桜、小結・大の里、前頭7枚目・御嶽海、同10枚目・湘南乃海、同16枚目・宝富士の5人の2敗力士。すでに2日目に大の里は倒しており、10日目は結びで琴桜戦が組まれている。番付や成績を考えると、御嶽海らも高安と当たってもおかしくはない。

「高安は実力だけなら今も大関クラスだが、いかんせんケガが多く、これまで一度も優勝経験がない。今場所前は15日間を完走するため、あえて稽古量をセーブしたものの、3日目で腰痛がぶり返してダウンですからね。逆に言えば、万全の高安ほど怖いものはない。優勝争いをしている力士はたまったものじゃありませんよ」(ある親方)

高安はV争いのカギを握るのが自身だと言われると、「面白いんじゃないですか」と一言。充電100%の「無冠の帝王」が、賜杯レースを更なる混沌の渦に叩き込む。

© 株式会社日刊現代