【疑問】「会社の持株会で自社株を持っています。この株、NISAに移管できるんですか」

FPがNISAの気になる疑問を一気に&詳しく解決

2024年から新NISAがスタートしました。

これをきっかけに、初めて資産運用にチャレンジしている方もいるかもしれません。

実際に資産運用を始めてみると、疑問点が出てくるケースもあるでしょう。

本記事では、ファイナンシャルプランナーである筆者のもとへと実際に寄せられたNISAの質問について詳しく回答していきます。今回は、持株会に関する質問です!

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【新NISAの疑問をFPが解決】質問者のプロフィール

〈質問者〉
M.Yさん
男性/会社員/45歳

〈家族構成〉
専業主婦の妻、娘と3人暮らし

〈相談内容〉
上場企業に勤めており、持株会で勤務先の会社の株を保有しています。

配当金を受け取っていますが、税金がかかるのがネックで……非課税で資産運用ができるNISA口座に預かりを移したいです。自社株をNISAに移管できますか。どんな手続きが必要ですか。

「会社の持株会で自社株を持っています。新NISAに移管できますか」の回答

結論から言うと、自社株をNISAに移管することはできません。

自社株は引き続き課税口座で保有し、配当金を受け取ったり、売却したりして利益が出た場合は、約20%の税金を払う必要があります。

まずは、NISAのルールを確認していきましょう。

2024年から始まった新NISAでは自社株だけではなく、その他課税口座で保有しているすべての株式や投資信託について、NISA口座に移管することはできません。

また、2023年までの旧NISAの口座で保有していた商品についても、2024年以降の新NISAの口座に移すことはできません。

2024年から始まったNISA口座は、新規で買付することにより、株式や投資信託などの商品を非課税で保有することができます。

次の章では「NISAの移管」について、詳しくみていきましょう。

【FPが解説】「NISAの移管」ができるケースは?

【写真全2枚中1枚目】NISAの利用には、口座を開設する必要あり。2枚目では、持株会のしくみを紹介。

課税口座で保有する商品をNISA口座に移管することはできませんが、実際に「NISAを移管する」という表現が使われるケースもあります。

これは、金融商品の移管ではなく「NISAを開設している金融機関(銀行や証券会社)を変更する」という意味で使われます。

NISA口座は、投資家1人につき1口座しか保有できません。そのため、開設できる金融機関も1つだけです。

実際に「NISAで資産運用を始めてみたけれど、金融機関のツールの使い勝手が悪い」「取扱商品数が少ない」など、不都合が出てくるかもしれません。

そんな時は、NISA口座を開設している金融機関を変更可能です。

金融機関を変更する場合、今まで使っていた金融機関から新しい金融機関へNISA口座を移す(移管する)手続きが必要になります。

これが「NISAの移管」と言われています。NISAの金融機関の変更は、年に1回までというルールがあります。

また、NISA口座の金融機関を変更する場合は、手続きを行うことができる期日が決められています。

NISAの金融機関の変更についてさらに詳しく知りたい方は、各証券会社の手続き方法をチェックしてみてください。

次の章では、持株会とNISA、それぞれを比較していきましょう。

【比較】持株会とNISA…どちらがおすすめ?

【写真全2枚中2枚目】持株会のしくみ

現在、勤務先の持株会で定期的に自社株を購入している場合、一般的に課税口座で買付し、そのまま保有・売却していることになります。

一方、NISAでは投資信託や株式を非課税で資産運用できます。課税口座で自社株を買い続けるよりも、NISAの方がお得に資産運用できる可能性があるといえるでしょう。

持株会のメリットには、時価より安く自社株を購入できたり、会社の成長に期待が持てたりする点が挙げられます。

しかし、税金という点では、NISAの方が魅力的といえるかもしれません。

持株会とNISAのメリットとデメリットを比較検討し、両方を組み合わせて資産運用をするのがおすすめです。

税金メリットを考慮してNISAだけの資産運用に切り替えるなど、自分に合った方法を選択するようにしましょう。

ファイナンシャルプランナーから一言

「相続で親からもらった株式をNISA口座に移管したい」

「自分のNISA非課税枠は使い切ってしまったので、自分の株を妻に贈与して妻のNISA口座に移管したい」

自社株に限らず、こうしたNISAの移管に関するご相談を受けることもあります。

しかし、NISAでは、課税口座や2024年以前の旧NISA口座からの商品の移管は一切できません。

NISAは、新規で商品買付をしてお金を増やしていく制度。ぜひ覚えておきましょう。

まとめ

実際にNISAで資産運用を始めると、新たな疑問が湧いてくるケースがあります。

そのような場合は、金融庁や日本証券業協会、大手証券会社などのホームページから情報を集めて、ひとつひとつ疑問を解決していくことが大切です。

不安を払拭しながら、ぜひ長期的に資産運用に取り組んでいきましょう。

参考資料

  • 金融庁「NISAを知る」

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