0.1点差で逃した東京五輪から3年後 激しく舞った粉、パリを掴んだ杉野正尭がガッツポーズに込めた想い

鉄棒の着地を決めて両手で力強いガッツポーズを作る。やり切った杉野正尭の周りを滑り止めの粉が激しく舞った【写真:中戸川知世】

THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム

体操のパリ五輪代表最終選考会を兼ねたNHK杯最終日が19日、群馬・高崎アリーナで行われ、男子個人総合で合計339.861点で5位に入った杉野正尭(徳洲会)がチーム貢献度を考慮されてパリ五輪に内定。得意の鉄棒とあん馬で切符をもぎ取った。印象的なガッツポーズには3年分の特別な想いが込められていた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

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手をパンと叩いて、両手で力強いガッツポーズを作る。やり切った杉野の周りを、滑り止めの粉が激しく舞った。

パリに向け、ミスは許されない勝負所で圧巻の演技を披露した。最終演目で迎えた得意とする鉄棒。次から次へと繰り出される高難度の離れ業に歓声が上がる。最後の着地を決めると、喜びを噛み締めるように両拳を握りしめた。

あん馬でも15.000点マークし、雄叫びをあげた杉野【写真:中戸川知世】

「ガッツと勢いが自分の強み」と語る杉野は、今大会も感情を前面に出した。もう一つの得意演目、あん馬でも15.000点で種目別2位をマーク。演技を終えると、雄叫びと特大のガッツポーズが飛び出した。

見る者を惹きつける印象的なアクションだったが、そこまで想定して練習した。「意識的にやっていました。徳洲会のみんながすごい応援してくれたので」。東京五輪は代表選考会で0.1点差で五輪行きならず。3年分の恩返しの気持ちも込めたガッツポーズだった。

悲願だった五輪の舞台。「僕の演技で元気や勇気を届けたい。表現することも選手の大事なこと」。パリでもシンボルとなるガッツポーズを世界に見せつける。

THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa

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