「安倍・外交・五輪」岸田首相が画策“トリプル活用解散” 規正法改正は混迷必至、会期延長説浮上で

思い描く解散シナリオは…(岸田首相=衆院予算委員会、昨20日)/(C)日刊ゲンダイ

政治資金規正法改正を巡る国会論戦が、20日の衆院予算委員会の集中審議でスタートした。自民党は公明党と改正案の共同提出を目指してきたが、調整は決裂。先週末に党単独案を国会に提出した。与党間の合意がないまま、野党を交えた審議に入る異例の展開となった。

集中審議では、立憲民主党の野田元首相から「中身が一番薄っぺらい」と自民党案にクギを刺されると、岸田首相は「実効的な法案を提出することができた」と反論。「今国会で改正を確実に実現しなければならない」と言ったが、今後は混迷必至である。22日から論戦の舞台は政治改革特別委員会に移る。連日審議は可能でも、来月23日の会期末までの法案成立は微妙な状況だ。

そこで、「会期延長説」が浮上。岸田首相の早期解散戦略とリンクしているという。囁かれているのはこんなシナリオだ。

「審議の紛糾を受け約2週間、会期を延長。その後、公明と日本維新の会の主張を盛り込んだ修正案を提出し、成立させる。立憲など野党の不信任案提出後、採決せずに総理が『国民の声を聞くべきだ』と発言し、解散に踏み切る。総理はこうしたスケジュールを描いているとみられています」(官邸事情通)

7.23公示、8.4投開票

具体的な日程として、7月7日の都知事選の翌8日に解散し「同23日公示、8月4日投開票」説まで流布されている。岸田首相にとって、このプランには3つのメリットがある。

1つは、安倍元首相だ。8日は安倍の三回忌に当たり「命日解散は安倍シンパへのアピールになる」(同前)というわけ。もう1つは外交だ。岸田首相は、7月9~11日に米ワシントンで開かれるNATO首脳会議に参加。16~18日には、太平洋地域にある18の島国・地域と日本による「太平洋・島サミット」が東京で開かれる。公示直前に「外交の岸田」を前面に打ち出すことができるのだ。

3つ目は、7月26日開幕の「パリ五輪」だ。

「閉幕は8月11日ですから、選挙期間中はずっと五輪の話題で持ち切りになるでしょう。日本人が金メダルを取れば祝祭ムードが高まり、総理も祝福コメントを連日、発信する展開が予想されます。これなら裏金事件を吹き飛ばせる、と総理が考えていても全く不思議ではありません」(自民党関係者)

3大メリットをフル活用して裏金事件を吹き飛ばし、9月の総裁再選を目指す――。こんな自分勝手が許されるのか。国民はだまされてはいけない。

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