今年の応募はゼロ…絶滅危機回避へ 60年ぶりに「バスガイドの〇〇」リニューアル 北海道ファンを増やす

札幌の観光バス会社がバスガイドの「あるもの」を60年ぶりに一新しました。その背景には「道内のバスガイドが絶滅するかもしれない」という危機感があると言います。

ガイド高橋さん「札幌市の観光名所・羊ヶ丘展望台が見えてまいります。実は札幌ドームと羊ヶ丘展望台は同じ敷地内に作られていることはご存じでしたでしょうか」

バス観光のツアーに同行するバスガイドの仕事は、名所や文化・歴史、ゆかりの歌などといったご当地の紹介だけでなく、車両の安全確認や清掃など多岐にわたります。ガイドの仕事がない日も次のツアーに備えて現地の膨大な資料と向き合います。

ガイド山本さん「最終的に暗記して全部を覚えてます。現地ノートっていうノートをまとめるんですよ。自分で地図を作る感じなんですけど」

観光のプロともいえるバスガイド。ただ、その数は右肩下がりで減っていて、この15年間で半数以下になりました。ことし創業60年を迎えた札幌観光バスは、ピーク時にガイドが35人ほどいましたが今は5人。ことし4月入社の採用活動では応募がゼロでした。福村泰司社長は若い女性の職業の選択肢が増えたことで、豊富な知識量が求められ、勤務時間も不規則なバスガイドの仕事が選ばれづらくなっていると言います。

福村社長「北海道の自然や食・文化を伝えて北海道のファンを1人でも多くつくっていける仕事がバスガイドだが、もう5年・10年後には20代の若手のガイドが道内から消えてしまう(のではないか)」

そこで先月、創業から60年変わらず受け継がれてきた制服をリニューアルしました。働き手のモチベーションを高める狙いです。

ガイド山本さん「バスのカラー・赤のカラーがたくさん入っているのが一番魅力かな」

ガイド高橋さん「すごくいいね、と言ってもらえる。(前の制服の)面影を残しているところがいいのかな」

移動時間が長い道内では、バスガイドが観光の価値を高める役割を果たしているといいます。

福村社長「(道内の)観光を引っ張っていく、リードしていくのは実はバスガイドだと思っているんです。バスも眠る場所になってしまうんですね。これはとても寂しいですし北海道の旅の価値が半減しちゃう。絶滅しないようにしっかり力を入れてガイド教育や採用に取り組んでいきたい」

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