笑点・山田隆夫、投資不動産を「評価額の3.46倍」で売却し大儲け?税金はどのくらい

山田隆夫さん(YouTube「細木かおりチャンネル」より https://www.youtube.com/watch?v=tYDAa_DftN4)

「笑点」の座布団運びでおなじみのタレント・山田隆夫氏が、六星占術継承者の細木かおり氏のYouTubeチャンネルに出演し、不動産投資で大儲けしていたことを明かした。

山田氏は以前、六星占術の創始者として有名だった細木数子氏に「不動産関係が向いている」とアドバイスされ、2010年に東京都江東区・江戸川区にマンション2棟を建設。2023年に江東区に所有する土地が再開発に該当し、国から「評価額の3.46倍で売ってください」と言われ、売却したという。

「1億だったら3億4600円ですよ」と山田氏がいうと、他の出演者から「1000万円じゃないんですか」と問われ、「最初は地目が田・畑だった土地が駅ができると言ったら商業地域になり、1坪5000円くらいの土地が評価額500万円くらいになっちゃった」と語った。

もし仮に評価額が1億円の土地を3億4600万円で売却した場合、税金はどうなるのだろうか。

●個人で長期保有した不動産なら、通常であれば税金は売却益の20.315%

ーーQ.評価額が1億円の土地を3億4600万円で売却した場合、税金はいくらかかるのでしょうか。

「山田さん個人が売却して所得税等の課税対象となるのか、山田さんが不動産管理法人を作られていて、法人が売却して法人税等の課税対象となるのかで話が違います。

仮に個人が売却したのであれば、所得税法の譲渡所得の課税対象となります。長期所有なら売却益の20.315%が税額となり、譲渡経費等を考慮外とすれば、1億円を差し引いた2億4600万円の約2割で約4900万円です。

なお、一定規模以上の不動産をお持ちの方は不動産管理法人を作るケースが多いのですが、法人の場合は税率が30数%ですので、売却自体で売却益の30数%ほど法人税等が増えると考えられます」

ーーQ.山田隆夫氏が実際該当するかは不明ですが、再開発事業により売却した場合には控除が受けられるようですが、これはどういったものでしょうか?

「仮に、第二種市街地再開発事業に該当すると推定して考察しますと、『収用等の特別控除の特例』の適用が考えられます。

これは個人・法人を問わず、『売却益から5,000万円を控除して税率を乗じ税額計算できる』あるいは『対価補償金等で他の同じ種類の土地建物に買い換えたときは今回は譲渡がなかったものとし、買い替えた土地建物売却時に今回の譲渡所得分も課税するイメージ』の特例です。なお、代替資産を取得時は、不動産取得税も配慮されます」

●賃貸物件を持ち続けるなら法人のほうが節税になるが・・・

ーーQ.一般的に不動産投資をする際は、個人と法人とどちらで行うのが節税につながるのでしょうか?

「毎年の家賃収入は、所得税法の不動産所得が、『所得が多くなる』ほど税率が上昇する『総合課税』に該当し、家賃収入が一定水準を超えると、所得税等の税率が法人税等の税率を超えてしまいます。そのため、ずっとその不動産を持ち続けている場合は、賃貸物件は不動産管理法人を作った方が節税上も有利です。

しかし、『当初取得時よりも高い価格で不動産を売却しそう』な場合は、所得税法の譲渡所得の税率が短期に該当しない限り20.315%になるので、法人税等よりも有利な場合が考えられます。

ですので、賃貸物件を『近い将来に思ったよりも高い価格で売却できそう』な場合は、不動産管理法人名義にしない方がよい場合も考えられるので、税理士に要相談でしょう。

Youtube用に話を面白くした部分もあるとは思う一方、山田さんは座布団運びキャラとは裏腹に不動産の勉強も相当にされたのだろうなとも思いました。そこに芸能人を画面のお姿だけで錯覚せず、本質のお姿を考える意義も個人的には感じたのですが、いかがでしょうか」

【取材協力税理士】
冨田 建税理士・不動産鑑定士・公認会計士
43都道府県で不動産鑑定業務の傍ら、各種講演・執筆も行う。令和3年に「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)を上梓し増刷。令和5年春には相続税・所得税等を解説する「図解でわかる 土地・建物の税金と評価」(日本実業出版社) を上梓した。
事務所名 : 冨田 建不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所、冨田会計・不動産鑑定株式会社
事務所URL:https://tomitacparea.com

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