とある「猫カフェ」ネコの耳には「切れ込み」が…なぜ?癒し癒され「悩みが何となく和らぐ感じになるんですよ」

鳥取市に去年オープンした、とある猫カフェがあります。
ここは単なる猫カフェではなくネコにとっても働く人にとっても特別な場所だというんです。
一体どういうことなんでしょうか?

広々とした部屋で思い思いに遊んだりくつろいだりしている愛らしいネコたち。
見ているだけで癒されます。
ここは、鳥取市に去年11月オープンした猫カフェ「ヴァルトバーデン」です。

25匹のネコが暮らしていますがよく見ると、「地域猫」の目印耳に切れ込みのあるネコもいます。実はこのネコたち…。

ヴァルトバーデン 岩﨑知行さん
「Q岩﨑さん、このネコちゃんたちはどこから来たんですか?」
「この子たちは、全部保護猫なんですよ」

岩﨑知行さん。
「ネコを殺処分から救いたい」と保護団体などから引き取りこの猫カフェをオープンしました。しかし、もう1つ目的があるんです。

ヴァルトバーデン 岩﨑知行さん
「心の傷を持っている人が多いので、そういう人が通えるような作業所を作りたいと思って」

実は岩﨑さん、市内で2か所障害者の人たちが働く就労継続支援B型事業所を運営していて、この猫カフェは3か所目の事業所として開設しました。

ヴァルトバーデン 岩﨑知行さん
「動物と触れ合える作業所は現状ないんですね。そういう場所が1つあってもいいのかなと思って」

ここを利用する障害者の人たちは現在10人。開店前の掃除やネコの世話などをしています。

そして、もう1つ大切な仕事があると言います。

「Q岩﨑さん、利用者のみなさんがネコと触れ合い始めましたけど、これは?」
「この時間は、ネコと触れ合うとっても大事な仕事になっています」

保護猫の多くは人に対する警戒心が強いためお客さんの前に出すには人に慣らす必要があるんです。

これを利用者の人たちが毎日行っています。

ヴァルトバーデン 岩﨑知行さん
「笑顔ですよね一番は。(利用者の人が)楽しそうにしてるところが一番うれしいです。ネコも表情はいつも同じ顔をしてるんですけど、ちょっとうれしそうなのは分かるんですよ」

この事業所のおかげで救われたと話すのは木村三男さん58歳。
木村さんは、不安症を抱え10年ほど前には会社の上司との関係に悩みうつ病とアルコール依存症も発症、会社を辞めました。

その後、いまとは別の事業所で箱折りやシール貼りなどの仕事をしましたがなじめず、去年、この猫カフェで働き始めると心に変化が現れたと言います。

利用者 木村三男さん
「ネコちゃんを触っていると癒されて、悩みが何となく和らぐ感じになるんですよ」

保護猫の居場所、そして、障害者の人たちの就労の場。
来店客に癒しを与えてくれるこの猫カフェは様々な役割を持っていました。

ヴァルトバーデン 岩﨑知行さん
「障害がある人たちが次に行くために、こういう施設があるから来ていただいて、楽しんでもらって、最終的に一般就労という形になればいいのかなと思う」

ここでは、条件が合えばネコの譲渡も行っているということです。

© 株式会社山陰放送