トー横問題を「『ワクワク設定』と呼ばないで」歌舞伎町舞台のドラマ、スタート前から苦言殺到した“大物脚本家”

(『新宿野戦病院』ホームページより)

7月にスタートするフジテレビ系ドラマ『新宿野戦病院』で、小池栄子と仲野太賀がダブル主演を務めることがわかった。2人ともフジドラマGP帯の主演を務めるのは、これが初となる“大抜擢”だ。

公式サイトによれば同作は、新宿・歌舞伎町を舞台に“命”をテーマにした新たな“救急医療エンターテインメント”。歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、ホストやキャバクラ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民など、さまざまなバックボーンを持つ登場人物たちが交錯する、社会の構図をテーマにしているという。

小池が演じるのは、軍医経験を持つ女医のヨウコ・ニシ・フリーマン。突如として歌舞伎町に降臨し、そこに渦巻く闇に光を当てていく存在になっていくそうだ。

同作の脚本を務めるのは、宮藤官九郎氏。TBS系『不適切にもほどがある!』のヒットは記憶に新しい。同作も“クドカン節”をまじえながら、悩みや問題を抱えながらも人生を強く生きる人たちを描いていくというが――。

「いま物議を醸しているのは、ホームページ上での宮藤氏の発言です。現実世界で歌舞伎町が抱える問題を“エンタメ”として描こうという、宮藤氏の姿勢が発言から垣間見えるようです」(週刊誌記者)

実際に、番組ホームページに掲載された宮藤氏のコメントを見てみよう。

《舞台は新宿歌舞伎町。トー横、ホスト、反社、オーバーステイの外国人、ホームレス、コンカフェ、ラーメン二郎。よく考えたら、まるで僕のために用意されたようなワクワクする設定。主人公は元軍医と美容皮膚科の医者。小池栄子さん、仲野太賀くんで書きたいとお願いしました。命を扱いながらも深刻になり過ぎず、かといって軽くなり過ぎない絶妙な塩梅(あんばい)を、お2人なら理解してくれるに違いないと思ったからです》

このコメントには、Xで批判が寄せられている。

《クドカン、社会問題を「ボクのためのワクワク設定」と呼ばないでほしい。》

《クドカンの「トー横、ホスト、反社、オーバーステイの外国人、ホームレス、コンカフェ、ラーメン二郎。よく考えたら、まるで僕のために用意されたようなワクワクする設定」とのコメント、その上での「野戦病院」という比喩、直近の「不適切にもほどがある!」の危うさを踏まえると、身構えてしまう……》

《全然ワクワクできないし、正気の大人が面白がっちゃいけない問題ばかり。もしかしてクドカンも「それ今面白がったらダメです」って言ってくれる人が周りにいないの?》

「宮藤氏が『ワクワクする設定』としてあげたものは、薬物・売春・窃盗など、現在も被害者を生んだり、当事者が苦しんだりしている社会問題です。個々へのケアや社会制度の整備など、決して浅く取り上げることのできないものばかり。

まだドラマは始まっていませんが、“エンタメ”として描こうとする宮藤氏の姿勢に、早くも疑問が寄せられているようです」(週刊誌記者)

始まる前から“不適切”を指摘されてしまったようだ。

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