九州新幹線長崎ルート“地元の議論”で合意形成は可能か?整備方法めぐり佐賀・長崎・JR九州の3者がトップ会談

九州新幹線「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートで主張が食い違う佐賀・長崎・JR九州。合意形成に向け3者トップの意見交換が実現した。しかし協議進展の突破口になるのか、今後の動向が注目される。

地元トップ3者の会談が実現

国との協議が再開したものの、依然として平行線が続く新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートをめぐる協議。

佐賀県の山口知事は2024年3月の県議会で、「現行のスキームで合意するのは至難の業」とした上で「原点にもう一度立ち返ってJR九州、長崎県など地元で議論し合意形成を探る」という“選択肢”に言及していた。

そして2024年5月13日、山口知事の呼びかけで佐賀・長崎・JR九州のトップ3者による意見交換が行われた。

「あくまで協議ではなく意見交換」

しかし意見交換については、長崎県とJR九州が必ずしも積極的だったわけではない。

JR九州の古宮洋二社長は3月27日、「私どもと佐賀県と長崎県だけで決められる話ではない。新幹線の話題はやはり国を入れて話をしないと、これは地域だけで決まる話ではないですよね、ということは知事には申し上げた」と述べている。

また、長崎県の大石知事は、「あくまで協議ではなく意見交換」とした上で、3者での会合に応じる意向を示していた。

このような経緯を踏まえて行われた佐賀・長崎・JR九州の3者による意見交換。
5月13日、佐賀県の山口知事、長崎県の大石知事がJR九州本社を訪れ、古宮社長と九州新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートについて2時間ほど意見を交わした。

佐賀県は、在来線の利便性低下や多額の費用負担を理由に、国・JR九州・長崎が主張するフル規格での佐賀駅ルートに反対し、佐賀空港周辺を通る南回りルートも検討するよう求めている。

合意形成の突破口となるのか

意見交換を終えた佐賀県の山口知事は次のように語った。

佐賀県・山口知事:
新しい組み立てというものは難しいということは、三者ともにこれだけ話しても、難しい課題だと思った。新幹線の新たな合意をどうつくっていくのかという問題は、これからも意見交換をするが、“今の環境を大切にしながら九州を盛り上げていく”ということについては一致した

長崎県の大石知事は、整備方式について「フル規格で全線開通し、ルートに関しては佐賀駅を通るアセスルート」を改めて強調したという。また協議については地元だけではなく国を交える必要性を語った。

長崎県・大石知事:
長崎県・佐賀県・JR九州だけでは解を見出すことは困難。どうやって整備をするのかといったことに関しては国を交えてしっかり協議をする必要がある

一方、JR九州の古宮社長は次のように従来の主張を述べた。

JR九州・古宮洋二社長:
効果を一番発揮するには佐賀駅を通るルートになることが一番佐賀県民・佐賀市民にとってもプラスになって、これまでいわゆる不遇を見たと言われている鹿島など、そういった地域の人たちにも今よりはプラスになっていくんじゃないかと伝えた

佐賀県知事の呼びかけで実現した佐賀・長崎・JR九州の3者による意見交換。地元の議論が、合意形成への協議を進める突破口となるのか、今後の動向が注目される。

(サガテレビ)

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