食卓の味方「モヤシ」はどうやってつくっている? 岐阜県養老町のサラダコスモの工場に潜入

岐阜県中津川市に本社を置くサラダコスモ。同社が手がける「ニラ野菜 炒め用ミックス」は、年間 1200 万袋を販売する大ヒット商品だ。野菜ミックス部門では売り上げ日本一を誇る(日経 POS セレクション2023)。そこでモヤシの生産量、国内シェアトップクラスであるサラダコスモの工場にカメラが潜入。知られざるモヤシの製造工程に密着した。

漢字で「萌やし」と書く理由とは?

サラダコスモの工場は岐阜県養老町にある。養老山地を背景にそびえ立つ巨大な「サラダコスモ 養老生産センター」は、一見するとミュージアムのようだ。工場内に入ると、フロアには機械が密集し、モヤシだけでもさまざまな工程があることが分かる。

モヤシの原料となる有機緑豆。モヤシは緑豆のほか、大豆や黒豆からも栽培できる。ちなみにモヤシを漢字で書くと“萌やし”。発芽という意味を持つ“萌”が使われている。栽培するにあたり、まずは大量の緑豆を約80℃の湯で殺菌する。

その後、約15℃の冷水プールで緑豆を引き締め、汚れを洗い流していく。大量の水を必要とするため、豊富な地下水がある養老山地は、モヤシを栽培するのに最適な地といえる。殺菌と洗浄が終わった緑豆はコンテナの中へ移され、栽培エリアへ。

植物なのに光は無用

栽培エリアには50部屋以上もあり、中は真っ暗! 明るい場所でモヤシを育てると、光合成をして緑の葉が生えてしまうからだ。つまり、暗闇こそがモヤシにとっては希望の光。

暗室では、定期的に水やりを行う。コンテナ1つにつき1回1000リットルを4時間ごとに放水するが、使っているのはもちろん“養老の水”だ。モヤシは発芽するとき、自ら発芽熱を放出している。その温度は高く、内部は70℃に達することも。放置すると熱で自ら成長を止めてしまうため、定期的に水やりをして冷やすことが重要になる。こうして10日ほど経つと、コンテナ1つあたり、約1トンのモヤシが育つのだ。

出荷前に待ち受ける3つの試練

コンテナからはみ出すほど順調に育ったモヤシは、出荷に向けてさまざまな工程に移る。まずは、コンテナごとマシンにセット。コンテナをひっくり返して小刻みに揺らすと、大量のモヤシと一緒に飛び出したのは、コンテナの底に敷いてあった水はけをよくするための器具。このような取り出し方をしても、モヤシの品質に影響はない。

モヤシを待ち受けるのは3つの試練。1つ目の試練は、階段状に設置された4つのベルトコンベヤーを通過すること。落下させることで、モヤシに付着した豆殻などをきれいに取り除くことができる。

2つ目はモヤシの根っこを切り取る工程。モヤシには根っこがあり、1本1本カットしなければならない。モヤシはシャッシャッシャッと音を立てて、根切り機の上を流れていく。

マシンの底にはカミソリのような刃が何枚もついていて、刃と刃の隙間に根っこが入ることでカットできる。刃の隙間は狭く、頭や本体をカットしないようなつくりに。こうして、約4メートルを移動しながら、根っこを取り除いていく。そして最後の試練は、高圧・強力シャワーによる洗浄だ。

3つの試練をくぐり抜けたモヤシは、1本1本がピカピカに輝いている。あとは出荷を待つのみだ!

もともとは漂白するのが一般的だったモヤシ。今は法律で禁止されているが、そのきっかけをつくったのが無添加・無漂白のモヤシの製造を始めたサラダコスモだった。養老山地の豊富な地下水を使用し、徹底的な品質管理をすることで、サラダコスモは安心かつ安全なモヤシを食卓に届けている。

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