土砂災害からの復興の酒 若者グループが田植え「楽しいの積み重ねが支援に」

10年前に土砂災害があった広島市の山間の集落で若者たちがコメを作り、復興支援の酒を造っています。その田植えが行われました。

広島市安佐北区大林町桧山地区、10年前の広島土砂災害の被災地です。

その一角に若者が集まりました。グループ「ふるさと楽舎」の田植えです。

学生
「やる気満々です。めっちゃ楽しみに来ました。きのうからイメージトレーニングしてから」

ふるさと楽舎は6年前から、ここで休耕地を再生しながらコメを作っています。主力は学生ボランティア。この日も、3つの大学から10人あまりが参加しました。

上野羽音 さん
「楽しいです、年に1回の田植え。普段できないことを体験させてもらえるところが、すごく魅力だなって思います」

馬場田真一 リーダー
「やっぱり楽しいっていうのはあるかもしれない。その活動の現場現場で楽しいだとか、誰かの役に立ったとか、そういった1つひとつの積み重ねが最終的にその復興につながっていくんかなって」

活動は、リーダーの馬場田さんが、地区内にある被災個所の復旧に関わった縁で地元の人から休耕地の再生を頼まれたのがきっかけでした。

取り組みの柱が、酒造りです。近くの「旭鳳酒造」の協力を得て、自分たちが作ったコメで酒を造ってもらい、収益の一部を活動費に充てています。

その酒が「大林千年」です。大林町が千年先も集落であるようにという願いが込められています。3作目となることしの酒は3月に完成し、地元の人たちに披露されました。

スイーツもあります。近くの広島文教大学では、栄養学を学ぶ学生が毎年、大林千年の酒かすを使ったスイーツを作って、田植えの日に披露しています。ことしは「酒粕ガトーショコラ」を作りました。

秋山雅治 さん
「かなり勉強になりますね。自分自身にとって成長につながっていく」

例年、参加者が食べて終わりですが、ことしは、まだ続きがあるかもしれません。男性は、大林千年を作った蔵元の杜氏…。酒かすの提供者です。

旭鳳酒造の杜氏 濵村洋平 さん
「後半で酒かすの風味がすごく広がりますね。そうですね、蔵で販売できたら一番いいなと思うんですけど」

楽しみながらの復興支援…。植えた苗は10月に収穫され、4作目の酒造りが行われます。

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