中国の研究者、量子機械学習研究で新たな進展

中国の研究者、量子機械学習研究で新たな進展

量子データのもつれの程度が量子機械学習モデルの予測誤差に与える影響を示すイメージ図。(資料写真、武漢=新華社配信)

 【新華社武漢5月21日】中国湖北省武漢市の武漢大学はこのほど、同大学コンピューター学院の羅勇(ら・ゆう)教授率いる研究チームが、量子機械学習の研究で新たな進展を遂げ、量子データのもつれの程度が量子機械学習モデルの予測誤差に及ぼす影響が2通りの表れ方をすることを初めて実証したと明らかにした。関連の研究結果はこのほど、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載された。

 論文の責任著者である羅教授は、量子もつれは量子コンピューティングの優位を実現する鍵となる資源だと説明。科学者たちは現在、従来の機械学習モデルの性能を超えるため、量子もつれを量子機械学習モデルのさまざまな段階に整合させる方法に幅広く注目しているが、量子データのもつれの程度が量子機械学習モデルの性能に具体的にどのように影響するかは、依然として未解決の難しい研究課題であり続けているという。

 羅教授は「既存の研究では、量子もつれが量子機械学習モデルの性能向上に役立つと一般に考えられている」と指摘し、研究チームは量子データのもつれの程度、測定回数、学習データセットのサイズが量子機械学習モデルの予測誤差に及ぼす影響を分析し、量子データのもつれの程度が予測誤差に及ぼす影響が2通りの表れ方をすることを初めて証明したと明らかにした。影響は、プラス効果として表れることもあれば、マイナス効果として表れることもあり、量子もつれが量子機械学習の性能を向上させるかどうかを決定する鍵は、許可された測定回数にあるという。十分な回数の測定条件下では、量子データのもつれを増やすと、量子機械学習モデルの予測誤差が効果的に削減されるか、あるいは同じ予測誤差の達成に必要な量子データのサイズを縮小することができ、逆に、許可される測定回数が少ない場合、高度にもつれた量子データを使用すると、予測誤差が増大する可能性があるという。羅教授は、この研究がより先進的な量子機械学習プロトコルの設計、特に量子計算資源量が限られている現在の量子コンピューターに合わせたプロトコルの設計に、重要な理論的指針を提供すると述べた。(記者/侯文坤)

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