【2025年卒就活生】5月1日内定率72%の超ハイペース 「焦る必要全くナシ」「自分の強み、希望を見つめ直そう」専門家がアドバイス

2025年卒大学生・大学院生の就職活動が早くも終盤戦に入ったようだ。

リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2024年5月13日に発表した「就職プロセス調査(2025年卒)『2024年5月1日時点内定状況』」によると、5月1日時点での内定率が72.4%と、現行の就活スケジュールになった2017年以降で最高となった。

焦らずにしっかりと就活を進めるにはどうしたらよいか。同研究所所長の栗田貴祥さんにアドバイスを聞いた。

情報通信、製造、サービス業の内定早い

就職みらい研究所の調査(2024年5月1日~7日)は、2025年卒業予定の大学生(3080人)と大学院生(861人)の合計3941人が対象。

5月1日現在の内定率(大学生のみ)は72.4%(前年比7.3ポイント増)と、4月1日時点より14.3ポイントも高くなった【図表1】。

(図表1)内定率の推移(リクルート就職みらい研究所作成)

理系が78.3%(前年比10.0ポイント増)と、文系の69.7%(前年比5.9ポイント増)を大きく引き離した。また、女性が72.9%(前年比8.6ポイント増)と、男性の71.9%(前年比6.0ポイント増)を上回っている。女性は4月までずっと男性より低かったから、ここにきて猛ダッシュをかけたようだ。

内定取得企業数の平均は2.28社(前年は2.16社)。2社以上から獲得した人が約6割(59.4%、前年は55.2%)に達した【図表2】。内定取得企業の分野別では、情報通信業(24.2%)がダントツ1位、次いで製造業(機械以外、18.0%)、機械器具製造業(16.4%)、サービス業(15.8%)と続く。

(図表2)内定取得企業数(リクルート就職みらい研究所作成)

スタートダッシュの早さを反映して、進路確定率も51.0%(前年比9.5ポイント増)と、現行の就活スケジュールとなった2017年以降最高になっている。

企業の採用意欲かつてなく高い まだチャンスある!

これほど早いペースで進んでいる就職活動、焦らずに自分に合った会社を見つけるにはどうしたらよいか。J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった就職みらい研究所所長の栗田貴祥さんに話を聞いた。

――5月1日時点の内定率(72.4%)、進路確定率(51.0%)ともに過去の数字と比べて異常なほど高くなっています。こんなにスピードアップした理由はどこにあるのでしょうか。企業側だけではなく、学生側の事情も何か影響していますか。

栗田貴祥さん 構造的な人手不足を背景に企業の採用意欲は高く、リクルートワークス研究所が発表している2025年卒の大卒求人倍率は1.75倍と、2024年卒の1.71倍より0.04ポイント上昇しています。

リクルート就職みらい研究所の『就職白書2024』の2024年卒の採用振り返り調査でも、「採用予定数を充足できた」と答えた企業は36.1%と、2012年卒の調査開始以来、最低値を更新しております。

以上のような背景から、2025年卒の企業の採用活動では、地域、業種、従業員規模を問わず、企業の選考・内々定出しが早まっているようです。
学生の皆さんも、そのスケジュールの早期化に対応して選考プロセスに臨んでいることで、内々定を取得する割合が高まっていることが、この数値の高さの要因かと考えております。

――なるほど。非常に高い内定率の背景には、2025年卒就活生から導入された新制度である「インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム」の影響は考えられないでしょうか。

栗田貴祥さん 「インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム」の参加学生に対し、早期の選考への案内などを一部の企業が行っているという話も聞かれます。

じつは新制度前からそのような状況は垣間見えていましたが、その動きがより進んでいる可能性は考えられます。

自分らしさ発揮できる、納得感の持てる企業選びを!

――特に理系が内定率78.3%と、急にドーンとアップしていますが、この理由はどこにあるでしょうか。

栗田貴祥さん 企業側のDX(デジタルトランスフォーメーション)人材、GX(グリーントランスフォーメーション)人材の需要は高く、その観点からも特に理系人材の獲得は企業が注力しており、このような高い数値になっていると思われます。

――卒業まで10か月以上もある段階での非常に高い内定率。まだ、1社も内定を取っていない学生の心中を思うと、私は個人的に胸が張り裂けそうになります。まだ、決まっていない学生は、これから何に一番心がけて就職活動を進めていったらよいでしょうか。

栗田貴祥さん 学生の中には、周囲で進路を確定する学生が増え、焦りを感じる方もいるかもしれませんが、まだまだ積極的に採用活動を行っている企業は多数あります。

自分らしいキャリアを築けるよう、自分の強みや、自分らしさを発揮できるような納得感の持てる企業選びを行っていただきたいと思います。

そのために再度、自分の強みや、どんな社会人としての生活を送りたいのか、そのためにはどんな職場で働くことが、それをかなえることができるのかなど、自分なりの選社軸を再度見つめ直し、その軸に合うような企業探しをしてみてください。

また、企業の皆さまには、入社後の早期離職の一因ともなり得るミスマッチを防ぐために、ぜひ、面接の機会などを通じて、学生への情報開示や丁寧な対話を実施していただくことを期待しています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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