クドカン&長瀬智也作品を担当のTBS超敏腕女性ドラマプロデューサーが退局→Netflixへ 地上波ドラマの危機

長瀬智也(C)ピンズバNEWS

テレビ不況と呼ばれる現代も、TBSはドラマ制作において高い人気と評価を誇っている。しかし、大功労者がTBSを去ると言われていて――制作会社関係者は話す。

「一部でも報じられましたが、TBSの名物女性ドラマプロデューサーで知られる磯山晶氏が近々TBSを退局する、と聞こえてきています。磯山さんの夫もTBSの幹部ですが、もうすぐ定年を迎える。それに合わせて磯山さんもTBSを辞め、Netflixに移籍する、という話です」

磯山氏は、今年1月クール放送の宮藤官九郎氏(53)脚本、阿部サダヲ(54)主演の超話題作『不適切にもほどがある!』を筆頭に多くのヒット作を生み出してきたTBSの敏腕プロデューサー。

特に宮藤氏とは元TOKIO・長瀬智也(45)主演、石田衣良氏の小説が原作の『池袋ウエストゲートパーク』(2000年4月期)でタッグを組んでから名物コンビとして活躍。岡田准一(43)主演の『木更津キャッツアイ』(02年1月期)、長瀬と岡田のダブル主演の『タイガー&ドラゴン』(05年4月期)などなど、多くのオリジナル作品を生み出し続けてきたことで知られている。

「長瀬さんと磯山さんの信頼関係は深かったですよね。長瀬さんは21年3月末でTOKIOから脱退、旧ジャニーズ事務所からも退所しましたが、その前の最後の作品になったのが磯山さんがプロデューサーを務め、宮藤氏が脚本を書いた『俺の家の話』(TBS系)ですよね。

磯山さんは同作放送時のインタビューで主演の長瀬さんのスケールの大きさを絶賛し、《どんな設定でも成立させてくれるスーパマン》と称していましたが、長瀬さんも厚い信頼を置く磯山さんと宮藤氏の作品だからこそ、“最後の作品”に選んだというところはあるでしょうね。

そんな磯山さんは、すでにネトフリでも実績を作っています。TBSは21年10月にネトフリとライセンス契約を締結し、新作ドラマ3本を全世界に向けて配信していくプロジェクトがあります。その1つである松坂桃李さん(35)主演の『離婚しようよ』(23年6月配信)を担当していたのが、磯山さんでした。

同作は、脚本が宮藤氏に加え、“ラブストーリーの名手”と名高い大石静さん(72)と共同である点、錦戸亮さん(39)の出演で大変に注目を集めた作品でした」(前同)

錦戸は『ごめんね青春!』(14年1月期)など磯山氏×クドカン作品に出演していて、その縁で『離婚しようよ』にメインキャストで出演。“実質ヒモ男だけど色気だだ漏れのアーティスト”という絶妙すぎるキャスティングがハマり、主演の松坂やヒロイン役の仲里依紗(34)を食う存在感を発揮していた。

「錦戸さんは、2019年9月末に関ジャニ∞(現『SUPER EIGHT』)を脱退して旧ジャニーズ事務所からも退所してから地上波ドラマに出演していませんでしたが、ネトフリの『離婚しようよ』で俳優として再注目された。そして、1月の『ふてほど』で旧ジャニーズ退所後初、『トレース〜科捜研の男〜』(19年1月期/フジテレビ系)以来5年ぶりの地上波ドラマ復帰も叶えました。これも、磯山さんの存在が大きかったことが明らかになっています」(前同)

■昨年は日テレの敏腕若手Pの移籍が話題になったばかり

錦戸は『ふてほど』の第5話と最終話に重要な役でゲスト出演しているが、磯山氏は錦戸にオファーをかけた理由をこう話していた。

《ちょうど今回はゲストがたくさん出るし、どこかのタイミングで地上波に復帰してもらえたらいいなと思っていた》

そんな、錦戸人気を再生させた磯山氏がTBSを去る――前出の制作会社関係者は話す。

「“ネトフリにヘッドハンティングされ、引き抜かれたのでは”という声もありますね。潤沢な資本を誇る動画配信メディアの作品がクオリティや話題性でも地上波テレビ局のものを上回るようになりつつある昨今ですが、そのなかでもネトフリはずば抜けている。

日テレのエース級でまだ若いプロデューサーもネトフリに“移籍”したことが話題になったばかりで、今、テレビ局は人材流出と引き抜きに頭を悩ませているといいますね」

日本テレビでは、菅田将暉(31)主演の『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(19年1月期)や松岡茉優(29)主演の『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(23年9月期)のプロデューサーでドラマ部門の若手エースだったF氏がネトフリへ移籍している。

「転職は個人の自由ですが、Fさんの日テレ退所話が浮上したのは『最高の教師』が放送中のことだったため、業界内では異例の出来事として話題になっていました。

Fさんは『最高の教師』に最終回までしっかり携わっていましたが、同ドラマ最終回直後すぐに日テレを辞めているので、やはり放送中の時点で話は動いていたということですね」(前同)

F氏は2009年に日テレに入社し、3年目の2011年7月に濱田岳(35)主演の連続ドラマ『ピースボート―Piece Vote―』で同局史上最年少プロデューサーに抜擢された敏腕。

「有能な人材だけに、F氏の移籍はネトフリの引き抜きだろうと言われていましたが、今度はベテランで、民放でもドラマのクオリティが高く評価されるTBSのエース・磯山さんまでもがネトフリへ移籍すると。磯山さんの実力ならネトフリでの活躍も間違いないでしょうが、あらためて地上波ドラマにとっては衝撃的な話ですよね……」(前同)

磯山氏のネトフリ移籍に関して、TBSスパークルの広報担当に問い合わせところ、

「社員のプライベートについて申し上げることはございません」

ということだった。

次々と地上波テレビ局から配信大手へと移る一流ドラマプロデューサー。地上波テレビドラマは今、正念場を迎えているのかもしれない――。

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