寿司、ザリガニ、自社ビルも「まさかの商品化」! ファンを騒がせた「トンデモプラモ」の世界

StudioSYUTOによる「寿司プラモ」

コロナ禍の中で大ブームとなって以降、現在も品薄状態が続いている『ガンダム』シリーズのプラモデル「ガンプラ」をはじめ、世の中にはさまざまなジャンルをテーマにしたプラモデルがある。世界中にファンがいる、奥の深い趣味の世界だ。

毎シーズン、どのような新作プラモデルが発売されるのか、各メーカーの発表が注目を集めるが、5月8日より開催されたイベント「第62回 静岡ホビーショー」ではBANDAI SPIRITSが新作プラモデル「盆栽プラモデル」を展示したことも話題に。発売時期などは未定だが、まるで本物のように細部まで精巧に作られた「盆栽」のプラモデルの商品化企画がどう進むのか、楽しみだ。

このような奇抜なアイデアで注目を集める「トンデモ系」のプラモデルは、実は過去にも多数存在している。これまでどのような商品があったのか、ネタとして笑えて、独特な仕様で作っても面白い「トンデモプラモ」を見ていこう。

■寿司プラモデルメーカーの新作は900粒のゴマ団子

食品の模型と言えば食品サンプルが思い浮かぶが、「食品のプラモデル」も存在する。中でも「寿司」のプラモデルは、なかなかに「トンデモプラモ」だ。

2021年に、プラモデルの企画・設計・製造を行う「秋東精工」から発売され、ネットを中心に大きな話題となった『寿司プラモ』。なんとシャリの1粒1粒が別々のパーツとなっていて、その数、合計364粒。それを1つ1つ付けていく地道さは、他のプラモデルでは味わうことができないだろう。

寿司の種類は豊富で、かっぱ巻きやサーモンの握りなどがあるが、その中でも特に“トンデモ”と言えそうなのが『いくら軍艦』だ。これはシャリだけでなく、いくらの1粒1粒までも別パーツとなっていて、大中小3種類の大きさのパーツが全部で64パーツ入っている。そのため、パーツ量は他の寿司プラモよりもさらに膨大になっている。

ネットを大きく騒がせた「秋東精工」は、2024年3月にゴマのパーツが1粒1粒別パーツとなっている『ゴマ団子プラモ』を発売。こちらはパーツ数が900個という超トンデモな製品だ。次はどんなツブツブパーツが登場するのか気になるところである。

■エヴァにキン肉マンまでカラバリが増えたアメリカザリガニ

生物系であれば、「トンデモプラモ」の中でも有名なのが、ザリガニを再現したプラモだ。これは2020年にフジミ模型から発売された『自由研究24 いきもの編 アメリカザリガニ(レッド)』なるプラモデルで、全長23センチ、可動式のハサミがついたリアルなザリガニが102個のパーツによって組み立てることができる。

その意外なテーマのプラモ化が話題となり、青や白や金色や、クリアパーツを使った「アメリカザリガニ」が発売されたが、さらに“トンデモ”と言えそうなのが、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』をモチーフにしたエヴァンゲリオン初号機仕様と2号機仕様のアメリカザリガニプラモ。それぞれ紫に黄緑。赤にオレンジと、原作を彷彿させるカラーとなっている。

他にも『キン肉マン』にキン肉マン、ウォーズマン、ロビンマスクがモチーフとなったアメリカザリガニプラモ。『ウルトラマン』シリーズのメトロン星人、バルタン星人それぞれのカラー仕様となったアメリカザリガニプラモなど、トンデモ度はかなり高い。

なかでも、バルタン星人のシルバーのハサミパーツは、かなり格好良い。いろいろなカラーを合わせて、自分だけのオリジナルアメリカザリガニを作るのも楽しそうだ。

■ファンに愛されるコトブキヤ自社ビルのプラモデル

城や神社、田舎の民家など、昭和時代から建物を再現したプラモデルはあったが、2023年に、ホビーメーカー「コトブキヤ」が創業70周年を記念して発売したのが、『1/300 壽屋ビルプラモデル』。東京都立川市にある「壽屋本社ビル」をプラモデル化したもので、プラモデルファンの間で大きな話題となった。

コトブキヤと言えば、昔から、巨大ロボットやミリタリー系、そして、ノズルやモールドといった小物まで、幅広く取り扱っている老舗のプラモデルブランド。

そんなコトブキヤの記念限定プラモデルは、組み立てが簡単なのに、本格的な仕上がりとなる工夫が凝らされている。随所にスナップフィットジョイントが採用されているため、接着剤がなくても組み立てることが可能。付属のシールも充実しており、塗装の必要もなしなのである。

とはいえ、その気になれば凝ったアレンジをすることもできる。屋上にあるプレハブの中にはジョイントが内蔵されているので、様々な拡張部品でカスタマイズ可能なのだ。

2023年3月25日には「言吹展70」というイベントが開かれ、ゴールドメッキとシルバーメッキのゴージャスなアレンジや、屋上に本物のコケを生やしたアレンジが展示された。

ネタ要素が強い「トンデモプラモ」の世界だが、クセの強いプラモデルを様々な技術でアレンジしてみるのも面白そうだ。今度はどんな「トンデモプラモ」が登場するのか、楽しみである。

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