「性的羞恥心など悪影響が大きい」検察が懲役2年求刑 女子児童への強制わいせつ容疑 60歳教諭は否認

2023年、坂井市内の小学校で女子児童の体を触ったとして強制わいせつの罪に問われている60歳の教諭の男の裁判で、検察は21日、男に懲役2年を求刑しました。判決は6月17日に言い渡されます。

強制わいせつの罪に問われているのは、福井市木田3丁目の教諭・見附史教被告60歳です。起訴状によりますと、見附被告は2023年1月から5月にかけて、勤務先の坂井市内の小学校で、1人の女子児童に服の上から胸や下腹部を触るわいせつな行為をしたとされています。

21日の裁判で検察は、女子児童の見附被告に触られた場所や触り方などの話が捜査段階から一貫していることから、児童の証言を十分信用することができると主張しました。

その上で検察は、他の児童がいる中で体を触ったり、被害者と2人きりになった時に、背後から胸を触ったりした見附被告の犯行態様は大胆不敵で悪質であり、被害者が感じた性的羞恥心や恐怖心などの悪影響が相当に大きいなどとして、懲役2年を求刑しました。

一方、弁護側、証拠がないことや児童の証言の信用性が低いとして無罪を主張。学校やクラス内では、見附被告に体を触られるといううわさが流れていたことから、友人と被害を相談する中で記憶が改ざんされたのではないかと主張しました。

見附被告は「起訴されている内容について私にはありません」と改めて否認しました。判決は6月17日に言い渡されます。

【取材記者の視点:佐々木菜緒】
今回の裁判で、女子児童は見附被告と2人きりになったタイミングで被害に遭ったと申告している。物的な証拠や他人の目撃証言がなく、当事者の証言に基づいて裁判を進める難しさがある。

裁判の中で、被害に遭った女子児童は、別室から犯行当時の出来事を詳しく証言した。検察は、触られた場所や触り方などの話が、捜査段階から一貫していて児童の証言は十分信用できると主張している。また、学校側の聞き取りで、最終的に11人の女子児童が、見附被告から体を触れるなどしたとの被害を訴えていることも明らかにされた。

一方、弁護側は、そもそも犯行を示す証拠がないことに加え、児童が証言する日時や記憶があいまいで、合理性に乏しいと主張している。見附被告は、女子児童が被害を訴えたことについて、「授業の後にかなり叱ったことがあり、それで嫌な思いをしたのかもしれない」と話した。これに対して検察は、女子児童が見附被告のことを「体を触られる前は面白く、理科の授業も楽しかった」と好意的に話していたため、見附被告を陥れる目的はないと反論している。

見附被告は、現在、裁判のため休職していて学校には籍を置いたままとなっている。物的な証拠がない事件だが、性犯罪が厳しく処罰される時代に、裁判所が被害児童の証言をどう取り扱うかが注目される。

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