県警相撲部・和宇慶巡査長 14年ぶりの世界大会へ

街の警察署に勤務する沖縄の警察官が、相撲の全国大会を制した。学生時代から実業団まで活躍してきた31歳。今年14年振りに世界の舞台に挑むー

街をパトロールする長身警察官が…実は「全国一」

宜野湾警察署で自動車警ら係に所属する巡査長、和宇慶一騎(31)。すらっとした体型で長身がひときわ目立つ和宇慶は、沖縄県警の相撲部の所属だ。

高校・大学・実業団と一線で活躍してきた彼は、5月12日に東京で行われた「第3回全日本個人体重別選手権大会」に出場。

総当たり戦、1日に5番という過酷なスケジュールのなか、前回の優勝者を破る殊勲も挙げ、5戦全勝でシニア軽量級を制した。

▽宜野湾警察署 巡査長・和宇慶一騎
「全国大会で優勝できるとは思っていなかったので、嬉しいより、まず先にびっくりしました」「個人戦ということで緊張することもなく全試合戦えたことが良い方向にいって、体も動いてくれて優勝できた」

和宇慶は実業団での競技を辞め、警察官になって3年目。ようやくペースが掴めてきたという。

▽宜野湾警察署 巡査長・和宇慶一騎
「24時間寝ずの勤務で1日が終わることもあったりするなか、1年目2年目は仕事を覚えるのが大変だったんですけど、3年目になって少しずつこの仕事の流れが掴めてきて、そういう意味でも相撲にも少しは専念できて、今回このような成績を残せたのかな」

次の照準は14年ぶりに挑む「世界大会」

激戦から1週間、忙しい業務の合間をぬって、和宇慶は次の戦いに向けて、稽古を再開している。

次の大会は9月にポーランドで行われる世界大会。和宇慶は高校時代にも世界大会に出場した経験があり、当時は準優勝。14年振りの世界大会での頂点を目指し、闘志を燃やす。
▽宜野湾警察署 巡査長・和宇慶一騎
「前回大会もポーランドで。今回も偶然、世界選手権がポーランドということで、何か縁があるような感じに思いますので、前回優勝を逃しているので、もう今回はもう優勝しかないのかなと」「忘れ物を取り返しに頑張っていきたい」

「今からは技を磨いたりとかそういったものではなくて、体重を増やして、9月までには体を作って、それまでの大会で怪我しないようにコンディションを整えたい。世界大会前の期間もリラックスして過ごしていけたら」

世界大会は「85キロ未満」が制限体重だというが、和宇慶の現在の体重は75キロほどと、かなり下回っている。警察官としての多忙な日々で体重も落ちやすいという。そんな彼を支えるのが子どもたちと妻の理子さんだ。

▽宜野湾警察署 巡査長・和宇慶一騎
「妻が管理栄養士の免許を持っているので、大会前まではカロリーを増やしてもらって、少しでも太れる食事をつくってもらうようお願いする」

▽妻・理子さん
「ご飯を大盛にしたりとか、鍋作って量をたくさん食べられるように、特別なことはしてないんですけど、満腹になるまで食べてもらう」

相撲人口が少ない沖縄を盛り上げたいー

家族の支えを力に世界大会に臨む和宇慶。優勝を目指すだけでなく、次世代に相撲の素晴らしさを伝えていきたいという思いも胸に秘める。

▽宜野湾警察署 巡査長・和宇慶一騎
「(自身は)当たり前かのように、(幼いころから)気がついたらもうまわしを巻いていた。相撲は自分にとってもかけがえのないスポーツ」 「相撲人口が沖縄県多くはない状況ですけど、メディアでの自分の取り上げなどを見て、相撲を続けたら世界大会にも行けるんだな、と少しでも今の子供たちが思ってくれれば本当に嬉しい。沖縄県で相撲を盛り上げていきたい」

14年の時を超えて、再び世界の頂きに挑む和宇慶。世界大会は、ポーランド・クロトシンで9月7日から行われる。(取材:愛久澤力也)

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