パラダイム Ai スモーク アイアンを西川みさとが試打「軽すぎて飛び△ 選ぶなら『HL』」

「Ai スマートフェース」のアイアン HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

インパクト時に無数のたわみを発生させ、打ち出し角やスピン量を補正する「Ai スマートフェース」を打ち出したキャロウェイ「パラダイム Ai スモーク」シリーズ。ドライバー同様にアイアンにも同じ新開発フェースを採用し、これまでにないやさしさ、飛び、精度を実現したという。そんな最新アイアンのスタンダードモデル「パラダイム Ai スモーク アイアン」を、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「見た目も振り心地も◎ アイアンに必要な重さが若干…」

ややつかまらずにプッシュ気味の球も

―率直な印象は?
「見た目は構えやすいオーソドックスな形状で、軽快に振り切れるため振り心地もよく、とても好印象なアイアンです。ただ、イメージしているよりも飛距離が伸びなかった(平均148.5yd)。純正カーボンシャフト(TENSEI 50 for Callaway/硬さR)がやや軽めの設定で、非常に振りやすい半面、飛距離につながらなかったのかもしれません。アイアンのカーボンモデルであれば、最低でも60gは欲しいところ。総重量ももう少しないと(7Iで367g)クラブスピードが上げられないため、思うような飛びにつながらなかったと推測します」

25万のスイングデータをインプットして5万回もテストした「Ai スマートフェース」採用

―前作「パラダイム アイアン」と比べると?
「前作は往年の名器『X-16』を彷彿とさせる顔立ちで非常に気に入ったのですが、今作も同様のデザインが継承されています。若干トップブレードが薄めで、頼りなさは感じられましたが、構えやすさに支障が出るほどではありません。より安心感が欲しい人は、やや厚みのある兄弟モデル『パラダイム Ai スモーク HL』を選べば問題なし。どちらもちょうどいい範囲で、いい顔をしています。打感も硬すぎず、やわらかすぎず、球離れもちょうど良かった。これほど良い材料がそろっているのに、なぜ飛ばないの? という疑問が最後まで残ってしまいました…」

最適なボール初速、スピン、方向、打ち出し角となるように補正

―「―HL」と比べると?
「『―HL』は、とにかくボールが楽に上げられる感じ。飛距離がスタンダードモデルと変わらないのであれば、『―HL』を選びたいと思いました。大きいヘッドサイズですが、あくまでもつかまりを向上させたドロータイプではなく、高さにのみ注力した性能。スタンダードと同じつかまり具合のまま、ちゃんと高さだけが追加された“HL(ハイローンチ)版”に仕上がっていました」

左からスタンダード、「HL」「MAX FAST」。トップブレードは「HL」が一番厚い

―「パラダイム Ai スモーク MAX FAST」と比べると?
「『―MAX FAST』は正直、軽量モデルでも意外に当たりの強かった『―MAX FAST ドライバー』から比べると、若干頼りなさを感じてしまいました。ドライバーは軽いほうが振り切れ、HSが増すことでパワフルさを連想させますが、アイアンはボールを上から当てにいく必要があるため、ある程度の重さがないと、思い通りにヘッドを入れることが困難。ドライバーが『―MAX FAST』だからアイアンも『―MAX FAST』という選び方は少し危険かもしれません」

中空構造のスタンダードモデル、セミキャビティの「HL」と「MAX FAST」

―ドライバーより短い分、軽量感が邪魔になる…?
「そうですね。勝手なイメージですが、アイアンショットはボール下にヘッドが入り込む感覚で打つため、クラブの重量感がとても重要になります。軽すぎてしまうと、しっかりボール下に入り込めず、(ボールの)上っ面に当ててしまう…。ドライバーよりクラブの重みを生かしたいのに、うまくコンタクトできないままヒットしてしまい、しっかり上げられない結果となってしまいました」

「『HL』ならアイアンの苦手意識がなくなってスイングも改善しそう」(西川)

―どのような人向き?
「オールマイティな性能なので、初心者から競技志向の強い中上級者まで、幅広い層のゴルファー向き。思っていたより飛ばないと言葉にしましたが、逆を言えば飛び系のようにとにかく前に運ぶ部分に特化しているわけではないので、しっかり距離を計算したい競技ゴルファーにもマッチすると思います。歴代『X』シリーズも、プロからアマチュアまで幅広く使われていたことを思い返すと、同じ系統と言えるかもしれません。そして、よりやさしさを求めるなら『―HL』。普段から高さが出ず、アイアンが苦手という人は一度試してもらいたいです」

気になる部分もありながら、オールマイティなオール4【総合評価4.0点】

【飛距離】4.0
【打 感】4.0
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.0

・ロフト角:28度(7I)
・使用シャフト:TENSEI 50 for Callaway(硬さR)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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