NTN、EV向けに提案する高効率・低振動ドライブシャフトを「人とくるまのテクノロジー 2024 YOKOHAMA」に出展

by 編集部:椿山和雄

2024年5月21日 発表

高効率・低振動ドライブシャフトの構造

NTNは、EV(電気自動車)向け商品として世界最高水準の高効率・低振動を実現したドライブシャフトの提案を開始すると発表した。同商品は、高効率固定式等速ジョイント「CFJ」と低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」の組み合わせたドライブシャフトで、NTNでは5月22日~24日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー 2024 YOKOHAMA」に出展する。

ドライブシャフトは、モータなどパワートレインユニットの動力(トルク)をタイヤに伝える部品で、タイヤ側の固定式CVJ(等速ジョイント)とパワートレイン側のしゅう動式CVJ、これらをつなぐシャフトで構成される。

高効率固定式等速ジョイント「CFJ」の構造
写真:高効率固定式等速ジョイント「CFJ」

同社が開発した高効率固定式等速ジョイント「CFJ」は、従来の基本構造を大きく変え、内部部品にかかる力を相殺する独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」を採用した固定式CVJ。同構造の適用により、トルク損失率を従来品比で50%以上低減、さらに高作動角時においてもトルク損失率の増加を大幅に抑えることが可能。世界最高水準の高効率で、国内外の自動車メーカ向けに多数の採用実績を誇る。

低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」の構造
低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」

低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」は、作動角が大きくなった場合にも、内部部品のローラカセットの傾きを抑える独自の「ピロージャーナル構造」を採用したしゅう動式CVJ。振動につながるスライド抵抗を従来品比で50%以下に低減するなど世界最高水準の低振動を実現しており、静粛性を重視する高級車や大きな作動角を取るSUV向けで豊富な量産実績を誇る。

「CFJ」と「PTJ」を組み合わせたドライブシャフトについては、すでに一部のSUV向けに量産を開始しており、現在、電動車向けでも多数の引き合いがあるという。同社従来品から、「CFJ」と「PTJ」を組み合わせたドライブシャフトに置き換えた場合、トルク損失率を70%以上低減することが可能で、電費は3.19%の改善効果が得られるという。なお、エンジン車におけるCO2排出量削減効果は1.71g/kmとしている。

近年、開発・普及が進むEVは、航続距離の延長を目的に省電費化が進められているが、大型バッテリーの搭載や居住空間の確保を目的とした駆動ユニットのレイアウト変更に伴って、ドライブシャフトの搭載角度(CVJの取付け角度)が大きくなると、トルク損失率が増加する傾向にあり、大きな取付角度においてもトルク損失率の低減が求められる。また、動力がモータに置き換わることでさらに自動車の静粛性が進み、ドライブシャフトのNVH改善ニーズが高まっている。

NTNでは、こうしたニーズに対応し、高効率固定式等速ジョイント「CFJ」と低振動しゅう動式等速ジョイント「PTJ」を組み合わせたドライブシャフトをEVに最適な商品として提案。リヤ用小型・軽量ドライブシャフト「Rシリーズ」や小型・軽量を特長とするCVJの「Eシリーズ」に加えて、同商品をEVやHEV(ハイブリッド車)など電動車向けに航続距離の延長や乗り心地の向上に貢献する高付加価値商品としてグローバルで提案していく。

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