大谷翔平は打者に専念すべき? あまりの打棒に米ESPNが徹底分析「中堅手のオオタニを想像して」

ドジャースの大谷翔平【写真:ロイター】

打者に専念している今季はキャリアハイペースの貢献度を記録

今季は怪我の影響で打者に専念している米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手だが、あまりの好調ぶりに、投手を辞めるべきではないか、とする声が米メディアから上がっている。米スポーツ専門局「ESPN」は、大谷が外野の守備に就いた場合などもシミュレーションしながら、二刀流を継続すべきか徹底分析している。

ESPNは「ショウヘイ・オオタニはベーブ・ルースのように、投手をするにはあまりに打者として良すぎるのか?」と題する記事を掲載。引き合いに出した二刀流の先駆者ルースは、レッドソックスでの最終年だった1919年を最後に本格的な二刀流を断念。ヤンキースに移籍した1920年から打者に専念し、1935年に引退するまで数多くの打撃部門で歴代トップクラスの成績を積み重ねていった。

記事は「今のところ、オオタニが無類のスキルを1つに特化すべきかという議論は、基本的に空理空論だ。なぜなら、オオタニは投げたいからだ」と前置き。一方で、「1910年代後半のルースのように、オオタニも二刀流の複雑さに対処することがもはや道理に合わないぐらい、あまりに良くなってきているかもしれない」と、傑出した打者成績が二刀流を辞めさせる要因になる可能性を指摘した。

まず、「オオタニはDHでさえも歴史的なシーズンを送っている」と指摘。三冠王や40本塁打40盗塁も視野に入る勢いだとする。控えレベルの選手の出場時と比較してどれだけチームの勝利を増やしたかを表すセイバーメトリクスの指標「WAR」は、米データサイト「ベースボール・レファレンス」が算出する「bWAR」で10.1ペース。これは、投手としてマークした3.9も含めた昨年の9.9を上回る。

大谷が中堅手になったらWARは12超えも

もちろん昨季は怪我の影響で9月初旬までしかプレーしていないため単純比較はできないが、打者だけで、二刀流で記録したキャリアハイを上回る可能性があるという。さらに、DHはポジション補正により数字がマイナスされることを指摘。「中堅手のオオタニを想像してみよう」と、センターを1年間守ったと仮定すれば、守備指標が平均的だったとしてもbWARは11.6まで跳ね上がるとした。

加えて、「もしオオタニが投手としての準備に常に費やしている労力を全て、最高の守備力を持つ外野手になるために使ったとしたら、彼がただの平均的に留まると本当に思う人がいるだろうか?」と野手に専念すれば、守備でもプラスの指標を叩き出すに違いないと主張。ゴールドグラブを受賞する可能性まであるとし、控えめに見てもbWARは12.1以上になるだろうと予測した。

投手として復帰し、ピーク時と変わらぬ投球ができるようになったとしても、ドジャースはジレンマに陥ると記事は言及。打撃だけで二刀流で記録したキャリアハイの貢献度を超える勢いなのに「それに干渉したがるだろうか?」と疑問を呈している。一方、「オオタニの現在の急上昇はどの程度、投球のことを心配しないで済むことの副産物なのか?」と単純計算ではいかない点も指摘している。

THE ANSWER編集部

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