パナソニック、特定のEV向けで電池需要減 26年度以降に解消と楠見社長

Ritsuko Shimizu

[東京 22日 ロイター] - パナソニック ホールディングスの楠見雄規社長はロイターなどの取材に応じ、電気自動車(EV)用電池について、米国の特定車種向けの需要が減ったことで足元の収益に影響が出ているものの、2026年度以降に徐々に解消していくとの見通しを明らかにした。

楠見社長は、日本から米国に出荷していたある車種向けの電池需要が激減し、国内工場の固定費が上がったと説明。収益面で課題になっているとした。楠見社長は車種を明かさなかったが、パナソニックは米EV大手テスラに電池を供給している。

ここ数年で急速に市場が拡大したEVは、パナソニックが主力とする北米を中心に成長ペースが鈍化。車載電池事業は国内工場の販売減が響き、24年3月期の調整後営業損益が187億円の赤字(前年は107億円の黒字)に転落した。25年3月期も170億円の赤字を見込んでいる。

楠見社長は、足元の問題は需要が回復する26年度以降に徐々に解消するとの見通しを示した。「米ネバダ工場は当初計画より生産性は上がっているが、これだけ減ると国内工場が大きな赤字になっている」とし、その赤字が解消されることで車載電池の収益は26年度以降盛り返していくと語った。

同社は車載電池について、27年度以降2桁の投下資本利益率(ROIC)を維持できる体質を目指している。30年度までに生産能力を200ギガワット時まで拡大する方針を掲げるが、楠見社長はEVの普及速度に合わせて投資をコントロールするとし、「一番避けるべきは先に投資だけしてそのラインが使われないという状況。顧客を広げ、ある種の契約ができた時点で投資する」と述べた。米国のネバダ、カンザス両工場に続く第3の拠点についての判断は「もう少し先になる」とした。

パナソニックは3月、EV用電池を供給することでマツダと合意。SUBARUとも協業していくことで合意した。楠見社長はインドでも引き合いがあるとし、「パートナー候補に協力の要請を受け、それに応えることを前向きに検討している」ことを明らかにした。

今年秋に大統領選挙がある米国では、EVの普及に否定的なトランプ元大統領が返り咲く可能性も出ている。楠見社長は「目指しているところが政権で変わることはない。車載電池事業は北米を軸に考えている」と述べた。

バイデン政権はインフレ抑制法(IRA)に基づく補助金でEVを後押し、パナソニックもその恩恵を受けている。楠見社長は「法律で決まっているもので、急には変わらない」との見通しを示しながらも「将来、IRAなしでも収益を出していくことはもともと目指していた」と語った。

*21日に取材しました。

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