【西武】最下位爆走に〝有効打〟なし 球団OBが掲げる「新たな参謀役」の理想像

西武の松井監督(左)と平石ヘッド

パ・リーグの最下位に沈む西武が21日のロッテ戦(ベルーナ)に3―5で敗れ、今季2度目の6連敗。これで同カードは7戦全敗となり、借金は最大の「15」まで膨らんだ。5月下旬にもかかわらず、すでに自力優勝の可能性が消滅し、球団ワーストに迫る年間98敗ペース…。明確な打開策が見いだせない中、いよいよ〝嵐の予感〟も漂っている。

西武の転落が止まらない。この日は先発した今井が指先のトラブルもあり、初回から5失点。相手に先行されれば盛り返す力がない打線は3点を返すのがやっとだった。

試合後の松井稼頭央監督(48)は「相手が早いカウントから仕掛けてきた。その後は抑えてくれたんですけど。(打線も)粘りは出たんですけど…」と今井をかばいながらも歯切れは悪かった。

18日のソフトバンク戦に敗れ、前身の西鉄時代を合わせても球団史上最速となる39試合目で自力Vの可能性が消滅した。それでも連敗は止まらず、この日の41試合目で13勝28敗(勝率3割1分7厘)。シーズンに換算すると45勝98敗(同3割1分5厘)ペースだ。これは130試合制だった西鉄時代の1971年に球団ワーストの勝率3割1分1厘(38勝84敗8分け)に迫る不名誉記録に迫るペースとなっている。シーズンの勝率が3割台だったのは1970年代の低迷期に4度あった以外は、所沢に移転した初年度(79年)の計5度だけだ。

この非常事態にフロントは外国人選手の補強やトレード、首脳陣の配置転換などテコ入れの有効打を打てずにいる。

球団OBからは「正直、今から新しい外国人を連れてきても日本の野球に慣れる時間を考えると即効性はない。打撃コーチの配置転換といっても、二軍の打撃コーチがスカウトから転身して2年目の大島では状況は変わらない」と悩ましげで「松井監督をすげ替えるというのは(17年オフに)楽天から三顧の礼で戻した経緯を考えると、球団のプロジェクト自体を否定することになり、あり得ない。となるとヘッドコーチを代えるしかないんじゃないか」と平石ヘッドコーチを更迭するとの見立てを示した。

本来、温厚な性格の松井監督を支える参謀には指揮官の足りない部分を補い、自ら率先して〝悪者〟になり、選手に対して厳しく当たる役割を期待されていた。しかし、手厚い指導者講習の影響などもあり、コンプライアンスにがんじがらめにされた西武球団の環境下では、外様の平石ヘッドにやれることも限られてくる。

前出OBは「そういったことを一切気にせず、勝つために現状をぶち壊せる人間、エネルギーにあふれた人材が必要」と新たな参謀役の理想像を語ったが…。

いずれにせよ、現状を変えるべく、フロントが何らかの手を打つべき時が来ている。

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