専門工事業で休日取得が難航、割増賃金見込んだ取引必要に/建専連調査

建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)が傘下の専門工事会社に行った調査で、各社が就業規則で定める休日と、実際に取得できている休日との隔たりが大きくなっていることが分かった。就業規則上の休日を「4週8休」以上とする企業は直近で4分の1を超えたが、実際に取得できている企業は1割にとどまる。調査主体の「建設技能労働者の働き方改革検討委員会」で委員長を務める蟹澤宏剛芝浦工業大学教授は、各社で時間外労働や休日出勤の割増賃金が発生している現状を踏まえ、それを見込んだ形に元請や発注者との取引環境を見直す必要性を訴える。=2面に関連記事
2023年度の「働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査」(調査期間23年10~12月)の結果を受け、蟹澤氏が取材に応じた。
時間外労働の罰則付き上限規制の適用が迫る中、就業規則などで4週8休以上を規定する企業は前年度比1・1ポイント上昇の25・9%。5年前の18年度からは8・7ポイント上昇した。一方、実際に取得できている休日が4週8休以上の企業は23年度に10・2%。18年度から3・4ポイント上昇しているが、前年度からはむしろ1・8ポイント下落した。民間工事が主体の企業は4週8休以上が8・9%と特に低く、請負階層が下位になるほど休日を取りづらくなる。
蟹澤氏は「専門工事会社が(上限規制への)準備を進めていても、現場の実態が付いてきていない」と指摘。労働基準法で割増賃金率を時間外労働で25%以上、休日出勤で35%以上、月60時間超の時間外労働で50%以上と定めていることを踏まえ、「休みの日に働けば割り増しになるとゼネコン側も理解する必要がある。発注者側も工期を早く求めるようなら休日分の上乗せが必要。そうした取引ができるようになっていかなければならない」と強調する。
週休2日制の導入が難しい理由を複数回答で聞くと「適切な工期が確保できない」が64・8%で突出する。「元請が休ませてくれない」が47・0%、「人手不足」が43・1%で続く。蟹澤氏は特に民間工事で工程上の不確定要素が多いまま総価一式で契約する慣習の弊害に言及。設計変更で工期やコストにしわ寄せが生じるケースがあり「建設する側に非がなく発注者などに要因があれば、契約の見直しで工期を延ばす決断ができる業界にしないと、働き手を守れないし新たな担い手も来なくなる」と話す。

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