【日本ハム】ダルビッシュ日米通算200勝達成で祝賀ムードも悲喜こもごも 功労者の〝帰還〟遠のく…

エスコンフィールド「TOWER 11」にあるダルビッシュ&大谷の壁画前で記念撮影する大勢のファン

日本ハムがパドレス・ダルビッシュ有投手(37)の日米通算200勝達成を祝いながら悲喜こもごもの様相を呈している。言うまでもなく2004年のドラフト1位で入団し、11年までプレーした右腕は球団にとっては誇り。その一方で、何とも言えない気持ちを抱く球団関係者もいるという。その理由は――。

剛腕の偉業達成に古巣も祝福ムードに包まれている。ダルビッシュが大台に到達した19日(日本時間20日)から球団公式Xでは、ファイターズ時代の画像が入った新聞紙面などとともに「日米通算200勝おめでとうございます」とお祝いのメッセージを添え、金字塔をたたえた。ただ、今なお進化を続ける右腕の健在ぶりに複雑な思いを抱く関係者もいるようだ。ダルビッシュがメジャーで活躍すればするほど日本ハムへの「復帰」が遠のくからだ。

ダルビッシュはMLB移籍直後から「古巣愛」を貫いており、パドレスに籍を置く現在でも私服や練習時に日本ハムの帽子やTシャツなどを身に着けることがあるほど。日米通算200勝達成後のコメントでも「プロに入った時にいろいろあって、その中でファイターズやファイターズのファンの方々、日本全体が優しく育ててくださったので感謝を忘れずにやってます」と感謝の言葉を述べている。

こうした古巣との良好な関係もあり、ダルビッシュが仮に日本復帰となれば、現役最後の所属チームは日本ハムが濃厚と言われる。だが、本人がメジャーで輝き続ければその分、日本ハムへの現役復帰はかなわなくなる。だからこそ一部フロントからも「アメリカで活躍してくれるのは本当にうれしい。でも可能性がある限り(日本ハムに)戻ってきてほしい思いもある…」とわずかな望みを抱きながら動向を見守っている。

すでにダルビッシュは23年2月にパドレスと6年総額1億800万ドル(約141億円=当時のレート)で契約を延長。契約期間中であっても破棄できる条項も盛り込まれているようだが、順調にいけば日本ハム復帰は早くても5年後の29年シーズンとなる。鍛錬を怠らない右腕なら42歳になっても活躍できる可能性は十分ある。だが、球団側としては一日も早く戻り、若手らの手本として支えてほしいのだろう。

5―4で逆転勝ちした21日のオリックス戦(エスコン)では、試合前から大勢のファンが左翼席後方の「TOWER 11(タワーイレブン)」にあるダルビッシュの壁画前に集結し、写真撮影を繰り返していた。

月日が流れても球団や地元ファンから熱烈な支持を集めるダルビッシュ。球団は衰え知らずの功労者の帰還を待ち続ける。

© 株式会社東京スポーツ新聞社