小池都知事の「東京大改革」は権力闘争に過ぎなかった…掲げた“情報公開”は今や見る影なし【小池百合子と学歴詐称】

元側近の小島敏郎氏(C)日刊ゲンダイ

【小池百合子と学歴詐称】#2

元側近・小島敏郎(下)

「改革は終わったのよ」──。2020年の東京都知事選直前、自民・公明両党の推薦を受けることを模索していた小池知事はそう告げた。その言葉通り、都民と約束した改革路線を捨てた小池都政の腐敗を、「学歴詐称工作に関わってしまった」と爆弾告発した元側近が打ち明ける。

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「自公の推薦を受けるのは、『改革をやめる』こととイコールです。選挙直前に推薦を受けるのは思いとどめたとはいえ、再選を果たした後の小池さんは目に見えて変わっていきました。都民との対話を一切しなくなり、情報公開には完全に後ろ向き。自民、公明、都庁官僚と手を組む古い都政に逆戻りしたのです。やっぱり改革は終わったのだなと痛感しました。彼女が改革路線を捨てたら一緒に仕事をする理由はありません。知事と都議の任期は4年。21年7月の都議選後、議員数が少なくなったので都民ファーストの会事務総長を辞めてくれと言われたのも事実だし、私も就任4年を区切りと考え、自らの意思で辞めたのも事実です。ただ、個々の議員から相談があれば応じることにしていました。小池さんには相談せず、彼女に会ったのは21年11月が最後です」

小池が就任当初に掲げた「都民が決める。都民と進める」「情報公開は東京大改革の一丁目一番地」「古い議会を新しく」など数々のスローガンは掛け声倒れ。今や見る影もない。

「当初は都庁官僚と都議会のドンだけで都の政策を決める、都民置き去りの『ドン政治』からの脱却を訴えながら、結局はドンの権力が小池さんにスライドしただけです。ドン打倒の武器に『情報公開』を掲げたのですが、自らがドンになるとそれが邪魔になる。小池さんの『東京大改革』は単なる権力闘争に過ぎなかったのです。都ファも小池さんにくっついているのみ。苦言を呈するどころか、対等に話せる人すら存在しません」

小池の卒業を裏づける「カイロ大声明」の文案を作成した元ジャーナリストのA氏が、名を明かし、話をする機会はあるのか。小島氏は先月17日の会見で「結論はイエスだ」と答えていた。

「Aさんとは密にコンタクトを取っています。ただ、公選法違反(虚偽事項公表罪)で小池さんを刑事告発する場合、検察に受理して捜査してもらうには、Aさんの素性を含め全てをオープンにすべきかを考えなくてはいけません。洗いざらいを打ち明けると、捜査に支障を来すこともあり得ます。いずれにせよ、Aさんが表に出るのは告発の後になるでしょう」

■嘘をつく理由はひとつ

エジプトは軍主導の強権政治が続く。カイロ大も軍事独裁政権の管理下に置かれる国家機関だ。「カイロ大声明」に関する告発に危険は伴わないのか。

「身の危険を感じることはありません。なぜなら、エジプト政府やカイロ大が『嘘をついている』とは言っていません。問題視しているのは、あくまで声明文が出た経緯です。私とAさんは自らが関わった事実を説明しています。それでも小池さんが声明文に『関知していない』と嘘をつくのは何かしら後ろめたいことがある証拠。そこから導き出される答えは明らかです。彼女はカイロ大学を卒業していません」 =つづく

(今泉恵孝/日刊ゲンダイ)

▽小島敏郎(こじま・としろう)1949年生まれ。東大法卒後、環境庁入庁。地球環境審議官などを経て退官。2016年に東京都特別顧問、17~21年に都民ファーストの会事務総長。現在、早稲田リーガルコモンズ法律事務所顧問・弁護士。

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