国道3号の交通量、最大8割減 西回り自動車道開通5年で 死傷事故も7割減 国交省「複数ルート整備の効果」

 八代、鹿児島両市をつなぐ南九州西回り自動車道(全長約140キロ)整備に伴い、開通済みで無料区間の日奈久インターチェンジ(IC)─水俣IC(30・1キロ)と並行する国道3号の交通量が、開通前と比べて最大8割減ったことが国土交通省の調査で分かった。沿線の死傷事故も7割減っており、国は複数ルート整備の効果が発揮されている、としている。

 調査は西回り道の整備効果検証のため、2019年3月の水俣IC開通から5年を機にまとめた。日奈久-水俣間の国道3号の4地点で、整備前の1999年度と整備後の21年度の1日当たりの交通量を比較した。

 それによると、日奈久─田浦間の交通量は、99年度は1万5千台だったが、21年度は2800台と81%減少。田浦─芦北間では1万5200台が3900台(74%減)に、芦北─津奈木間は1万7700台が3800台(79%減)、津奈木─水俣間は2万600台が8千台(61%減)となった。

 大型車の交通量はいずれも8~9割減少。開通区間が芦北ICまでだった13~15年度は水俣、芦北、津奈木の3市町で計343件あった死傷事故発生件数は、津奈木IC整備後の16~18年は212件と4割減、水俣IC整備後の19~21年度は105件と、さらに5割減った。13~15年度と比べると7割減少している。

 観光面への貢献も大きい。道の駅を併設する観光施設「エコパーク水俣」の22年度の来訪者は33万人と14年度より13万人増えた。国交省八代河川国道事務所によると、水俣市外の熊本県内や福岡県からの来訪が6割以上を占めており、所要時間短縮が一因とみている。

 防災面でも力を発揮した。20年の熊本豪雨では、国道3号の佐敷トンネル(芦北町)が土砂流出などの影響で全面通行止めとなった。一方、西回り道は被害を免れ、国道の代替路として被災地間の移動や物資運送の役割を果たした。(伊藤恩希)

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