薬剤師も人手不足…紹介会社に支払う手数料に悩む施設も多い【クスリ社会を正しく暮らす】

薬剤師不足している病院や薬局が増えている

【クスリ社会を正しく暮らす】

人口減が続く中、どの産業においても人手不足は深刻な問題です。医療業界でも昨今は人手不足が話題になることが多く、薬剤師に関しても不足している病院や薬局が増えています。2024年度にスタートした第8次医療計画でも「薬剤師の確保」が明記されることになりました。

薬剤師を含め医療職の求人には、人材紹介会社を活用する場合も多くあります。雇用される側としては、転職エージェントが親身になって相談に乗ってくれたり、手数料もかからず、自分の条件に合った求人を探してくれる紹介会社はとても重宝します。

一方、雇用する側としても、その医療機関が求めている人材を選んで紹介してくれるなどメリットはあるものと考えます。ただ、雇用主にとって紹介会社へ支払う紹介料は非常に頭の痛い問題です。医療職の求人において紹介会社への手数料はおおよそ年収の30%くらいが相場といわれています。

たとえば、年収500万円の薬剤師の就職が1件成立した場合、雇用主は紹介会社に150万円を支払う計算になります。特に中小病院など規模の小さい施設にとっては、これらの手数料が大きな負担となっているのです。

ちなみに、医療職以外の職種に関しても調べてみたところ、紹介会社への手数料はそれなりのパーセンテージとなっているようです。医療職の求人ではあまり見かけませんが、最近話題になっているスカウト型の求人は、求職者個人でアピールすることも難しく、雇用する側もされる側も双方にとって紹介会社を活用するメリットは大きく、それなりの手数料を払ってもよいのではないかと考えます。

さて、薬剤師業界では、薬剤師会などを中心にマッチングサービスが見直されています。雇用する側、される側、双方にとって優しいマッチングサービスが広く普及するとうれしい限りです。

(荒川隆之/薬剤師)

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