セブン&アイ、スーパーストア事業の株式公開化を検討 ヨーカ堂などが独自の財務規律で成長し国内外のコンビニと食で連携強化

セブン&アイ・ホールディングスは、SST(スーパーストア)事業の新規株式公開(IPO)に向けた検討を開始する。イトーヨーカ堂(IY)やヨークベニマルなどを束ねる中間持株会社を設立してIPO申請する。IPO申請には3年の準備期間を要することから最短で2027年の実現を目指す。SST事業を独自の財務規律で成長させていく一方で、食を軸足としたグローバルCVS(コンビニ)事業により集中していくのが狙い。

CVS事業拡大の源泉をSST事業の食と捉えていることから、SST事業をセブン&アイグループに留めつつ最適な持株比率を探る。

4月10日開催した決算説明会で井阪隆一社長は「シナジーがきっちり創出できるくらいの割合でないといけない。したがって15%未満ではダメで、かといって連結子会社に固執するつもりはない。(SST)独自の財務規律の中で、独自に投資ができる環境になったほうが長期的な成長には役立つと考えている」と語る。

IYの山本哲也社長も「今後はSSTとしての独自の必要な投資というものを、われわれ自身が方向性を決めていかなければ変化する中で競合には勝てない。自らの資本で自ら投資していくことが最大の意義。逆に言えば、これをしなければ持続的な成長にはつながらない」との見方を示す。

セブン&アイでは、IYなどSSTが持つ食の知見・開発力・供給力をCVSの重要な資産と位置付ける。井阪社長は、2月オープンしたセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)の新大型店舗「SIPストア」の初動からもSSTの食の強みを再確認したという。

SIPストアは、IYをはじめグループのシナジー発揮を目指したもので、焼成パンとともに冷凍食品が好調に推移している。

「グループからの離脱ということは考えていない。CVS事業発展のためにもSST事業の食のリソースは非常に重要な要素だと思っている。SEJの冷食販売金額が2007年度から22年度までの15年間で約20倍に拡大したのも、グループにSST事業がなかったら絶対にできなかった」(井阪社長)と述べる。

なお、IYとヨークベニマルとの経営統合については「考えていない」と回答。その理由については「IYとヨークベニマルでは店舗形態やエリア、地域性が全く異なるため」と説明する。

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