老け見えが気になる更年期 シミやクマを体の内側から改善 プロが教える「食養生」とは

老け見えを心配してしまうことも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

紫外線を気にする時期になってきました。鏡を眺めるたび、出現したシミに老け見えを感じる人も多いでしょう。「Hint-Pot」では、更年期の女性の元気をサポートする、国際中医薬膳師のかみむら佳子さんによる連載をスタート。今回は、シミや肝斑など老け見えの原因として考えられる「お血(おけつ)」や舌のセルフチェック方法、食養生についてお届けします。

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表面的な対策だけではなく、体の内側から老け見え予防

5~7月にかけてピークを迎える紫外線。紫外線が強くなってくると「これ以上シミを増やさない」という思いで、日焼け対策にいっそう力を入れる人も多いのではないでしょうか。「シミ消し」「透明感」「肌色が明るくなる」などといった文言に惹かれ、エイジングケア化粧品により敏感になることも。

紫外線対策や日常のスキンケアはもちろん大切ですが、それでもいつの間にかできてしまうシミ。とくにホルモンバランスの乱れや代謝が落ちる更年期は、表面的な対策だけではなく、体の内側からケアをしていくことが老け見え防止につながります。シミをこれ以上増やさないためにも、薬膳的なチェック方法と食養生をぜひプラスしてみてください。

血の滞りやめぐりの悪くなる「お血」が老け見えの一因に

具体的なチェック方法に入る前に、まず薬膳を支える中医学の考え方について説明しましょう。中医学では、シミは「血の滞り」が原因で起こると考えます。「血」が滞って、めぐりが悪くなっている状態を「お血(おけつ)」と呼びます。お血になると、シミ以外にもそばかす、くすみ、クマができやすくなったり、皮膚にツヤがなくなったりするなど肌のトラブルが起こり、老け見えの一因に。

さらには、病気ではないのに、体の変化やなんとなく不調を感じやすくなることもあります。たとえば、慢性的に首や肩が凝る、生理のときにレバー状の血の塊が出る、唇や歯茎の色が暗く青紫色ぎみになる、あざができやすい、足の静脈が目立ってきた、静脈瘤ができた、末端の冷えが気になるなどがお血の特徴です。

お血の原因には、ストレスや過労、不規則な生活、睡眠不足、揚げ物など脂っこい食事、運動不足、体の冷えなどが考えられています。更年期世代で、この原因に「あ、私かも!?」と思い当たる人は多いのではないでしょうか。

中医学では、更年期は血液の貯蔵や循環に関わる「肝」の働きも弱ってくる時期ととらえます。血液が不足ぎみで、血流が悪くなる状態という点でもお血になりやすく、シミが増えてしまうのです。

五臓六腑を映し出す舌 毎日のセルフチェックで確認を

さて、ここからはシミを体の内側から防ぐために役立つ薬膳的なチェック方法「舌診」を紹介します。舌の色や形、舌苔の有無で体調の状態や不調のサインを確認する方法です。中医学では「舌は体の鏡」といわれるほど、人体の五臓六腑と関係が深いものとしてとらえます。

体調に問題がない舌の色は、ピンク色か淡い赤い色です。しかし、お血タイプの舌の色は舌全体が赤紫色や青紫色で、裏にある静脈が太く暗い青紫色になっています。

私は薬膳講座で受講生の舌裏を見せていただく機会があるのですが、お血タイプの舌の裏は、ほぼ静脈が太く暗い青紫色になっています。そしておかおにはシミがちらほら……。くすみやクマで、肌のトーンが暗めの人がほとんどです。

それくらいわかりやすく判断できるので、みなさんも日々のセルフチェックのひとつとして、ぜひご自身の舌を観察してみてください。

タマネギやニラたっぷりのチヂミ。タレにはエシャロットと黒酢を加えて【写真:かみむら佳子】

シミが気になるときは血行を促す食材を使おう

血が滞ってめぐりが悪いとき、薬膳では全身の血行を促進する「活血化お(かっけつかお)」という効能を持つ食材を、日々の食事に意識して取り入れるようにします。たとえば、野菜であればタマネギ、ニンニク、らっきょう、エシャロット、パセリ、クレソン、ニラなど。果物ならばベリー類、桃などです。このほか、青魚や黒米、黒豆、酢、甘酒も良いですし、お茶であればバラ、ローズヒップ、ハイビスカス、紅花もおすすめです。

手軽な薬膳料理で紹介すると、タマネギとニラをたっぷり入れたチヂミに、刻んだエシャロットと黒酢を加えたタレで召し上がってみてください。

揚げ物が大好き、甘いお菓子を毎日食べないと落ち着かない、冷たい飲み物ばかり飲んでいる人は、お血の状況を悪化させてしまいます。更年期の人はなるべく控えるのが好ましいでしょう。

食養生を始めたら、ご自身の舌の状態がどう変わっていったかを観察することもモチベーションのひとつになります。体の内側からのシミ対策に、楽しく取り組んでいきたいですね。

かみむら 佳子(かみむら・けいこ)
大学卒業後、ハウスメーカーの営業職にて勤務後、28歳でフードコーディネータースクールに通い、アシスタントを経て独立。35歳で第2子流産後に続いた体調不良をきっかけに、薬膳を学び始める。「あなたスタイル薬膳RKazen」を主宰し、身近な食材で手軽に養生を実践する簡単薬膳や中医学の指導、セミナーなどで活動中。

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